2014 Fiscal Year Research-status Report
イヌによる動物介在教育がもたらす諸効果に関する基礎的研究
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26450457
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
野瀬 出 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60337623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿沼 美紀 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00328882)
政本 香 松山東雲女子大学, 人文科学部, 講師 (20454895)
土田 あさみ 東京農業大学, 農学部, 教授 (60439891)
入交 眞巳 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (70453511)
林 幹也 明星大学, 人文学部, 准教授 (80435081)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動物介在教育 / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物との相互作用により様々な効果が期待できる動物介在教育(Animal Assisted Education: AAE)は、教育現場で活用される機会が増えてきている。しかし、その効果について対照条件を設定して定量的に評価した報告はほとんどない。本研究は学習場面におけるイヌとの相互作用が及ぼす効果について、生理的、認知的、社会的側面から多角的に検討することを目的としている。AAEの効果の特徴を把握することで、AAEの導入が有効な場面や使い方について明確にすることが可能となる。2014年度は生理的および認知的側面からの検討を実施した。 対象は34名の成人(20歳~29歳、男性17名、女性17名)であった。心的回転課題(10分間)を実施した後に、イヌと接触可能な時間(5分)を設け、その後さらに10分間の課題を実施した。実験中の課題成績(反応時間、正答率)、主観的気分(2次元気分尺度)および生理反応(心電図、呼吸曲線、皮膚電気抵抗、唾液中コルチゾール濃度)を記録した。対照条件ではイヌの代わりにイヌのぬいぐるみ、もしくは観葉植物を設置した。 データ解析の結果、課題成績については試行回数の増加に伴い、反応時間の短縮および正答率の増加が認められたが、条件間の差は見いだせなかった。主観的気分については、安定度(リラックスの程度)は条件間差が見られなかったが、活性度(イキイキしている程度)はイヌ条件でのみ接触後に増加が認められた。唾液中コルチゾール濃度については、課題終了後に低下する傾向が認められたが、条件間差は見られなかった。その他の生理反応については、データ解析が終了しておらず、今後さらに解析を進めて行く必要がある。 現時点までの結果から、イヌとの短時間の接触により、学習課題のパフォーマンスは顕著な向上を示さないが、覚醒度を高め、気分転換させる効果は期待できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の生理反応データの解析が遅れているが、他のデータ解析は終了しており、2014年度の研究計画はほぼ予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は解析が終了していない生理反応データの解析を実施し、全データを含めたAAEの効果について検討を行った後に、研究成果を公表していく。同時に、社会的側面からの検討を実施し、学習場面にイヌが入ることで対人的交互作用がどのように変化するのかを明らかにするための実験を開始する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた実験機器の一部見直しを行い、既存の実験機器を転用することで経費を削減した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に実施予定の実験に参加する被験者数を増加させる必要が生じたため、その謝金にあてる。
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