2014 Fiscal Year Research-status Report
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26450458
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岸上 哲士 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10291064)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 卵子の老化 / 代謝 / アセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
成熟卵子は、排卵後体内または体外において経時的に個体への発生能を失う。この現象は、「排卵後の卵子の老化(postovulatory oocyte aging)」とよばれ、発生工学分野や不妊治療において重要な課題となっているが、その分子機構はほとんど明らかになっていない。本研究課題では、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるニコチンアミドによる卵子老化抑制の分子機構を明らかにすることにより、卵子老化のアセチル化異常と発生能低下の分子機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、特に老化卵子の細胞質のアセチル化異常における核の果たす役割を解析するために除核および体細胞核移植を行った卵子の老化による形態学的変化およびアセチル化について検討を行った。その結果、体細胞核移植卵(再構築卵)では卵子の断片化が通常より早く起こること、除核卵子では断片化が起こらないことが明らかとなった。さらに、細胞質のアセチル化異常は核の有無や種類に関係なく起こることも示された。また、核の種類により老化過程における細胞質のアクチンの局在変化が異なることも明らかとなった。以上のことから、核に依存する卵子の老化現象と核の種類に依存した卵子の老化現象が存在することが示された(投稿準備中)。今後卵子老化の分子機構を明らかにするために、代謝物や個々の遺伝子発現やタンパク質の細胞内での機能解析を行っていくことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の大学異動にともなう研究室の閉鎖ならびに引っ越しによる研究への影響があった。その中で、体細胞核移植卵子を用いた卵子老化研究を進展させることができ、現在論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新しく研究室を早急にセットアップしており、すでに胚培養の実験を始めている状況にある。今後予定していた研究を行うために遺伝子解析のセットアップなど順次立ち上げていく予定である。さらに今年度は、NADHやATPなどの代謝物が卵子老化に与える影響について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の大学異動のため、研究室閉鎖にともなう実験停止によるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、新しく研究室をセットアップしているため今年度は必要な実験を遂行し予定通り支出する予定である。
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Research Products
(2 results)