2016 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetics of caste differentiation and brain function in honeybees
Project/Area Number |
26450472
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 哲彦 玉川大学, 学術研究所, 教授 (60235257)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | エピジェネティックス / DNAメチル化 / ミツバチ / カースト分化 / 性決定遺伝子 / 選択的スプライシング / ゲノム編集 / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミツバチの性決定は半倍数性システムで、未授精卵から雄、受精卵から雌が生まれ、雌は幼虫期に与えられる餌の違いによって、女王バチと働きバチにカースト分化する。働きバチは基本的には不妊であり、雌としての本来の機能を失っていることに着目し、本研究課題では、カースト分化に性決定遺伝子が関与している可能性を検証した。 平成26年度と平成27年度は遺伝子発現解析を行い、doublesex、complimentary sex determination、transformer 2などの性決定遺伝子の発現がカースト間で異なることを示唆する結果を得た。 平成28年度は遺伝子機能解析法の開発を目指し、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集をミツバチに応用することを試みた。標的遺伝子としては、機能破壊しても胚や幼虫の発生に影響しないと考えられるmajor royal jelly protein 1遺伝子を選んだ。まず、プラスチック製の人工産卵器に女王バチを閉じ込めて、産卵後3時間以内の受精卵を回収し、sgRNAとCas9 mRNAを顕微注射した。顕微注射した57卵から23匹の幼虫が孵化した。これらの幼虫を人工王台に移虫し、室内のフライトルームに設置した無王群に預け、8日後に人工王台を回収してインキュベーター内で女王バチを羽化させた。最終的に得られた6匹の女王バチをフライトルーム内の無王群に戻して産卵させたところ、2匹の女王バチが未授精卵を産んだ。一方の女王バチが産んだ卵から孵化した67匹の雄ではゲノム編集を検出することができなかったが、もう一方の女王バチが産んだ雄では、161匹中20匹でゲノム編集が確認された。これはミツバチでのゲノム編集に成功した世界初の例である。
|