2014 Fiscal Year Research-status Report
交信撹乱下における老化がコナカイガラムシ処女メスの繁殖能力と性的魅力に与える影響
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26450476
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Research Institution | Fukuoka Agricultural and Forestry Research Center |
Principal Investigator |
手柴 真弓 福岡県農林業総合試験場, その他部局等, 研究員 (60502432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 純 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (20391211)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フジコナカイガラムシ / 交信撹乱 / フェロモン / 老化 / 繁殖能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
交信攪乱法は合成性フェロモンによって虫の配偶行動を阻害する防除法である。交信撹乱下では、多くの雌成虫は未交尾のまま取り残される。一般的に短命な蛾類では繁殖を抑えることができる。ところが、カメムシ目の果樹害虫フジコナカイガラムシの場合、未交尾雌が数か月生存する上、若い雌成虫と同等以上の性フェロモンを放出し続ける。そこで、老化した未交尾雌成虫の交尾の可能性や産卵数等の「繁殖ポテンシャル」と性フェロモン生産量や雄誘引性等の「性的魅力」の変化を明らかにするため、以下の試験を行った。 交尾時の羽化後日数が異なる雌成虫の交尾率、産卵数等を調査したところ、日齢の経過にしたがって繁殖能力が低下することが明らかになった。同様に雌成虫が放出する性フェロモン量を調査したところ、羽化28日後までは増加し、その後減少することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事業開始当初の計画に従って試験を行っており、予定通り進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
未交尾雌は日齢の経過にしたがって繁殖パフォーマンスが低下することが明らかとなった。今後はその要因を解明するため、以下の試験を行う予定である。 繁殖パフォーマンスは蔵卵数の影響を受ける可能性が高い。そこで、日齢と蔵卵数の関係を解明するため、日齢の異なる未交尾雌を解剖し蔵卵数を調べる。 また、フジコナカイガラムシの体内に代謝の一部を担う微生物が共生していることが知られている。この共生微生物量と繁殖パフォーマンスの関係を明らかにするため、日齢の異なる未交尾雌の共生微生物量を調べる。 日齢の経過にしたがって繁殖パフォーマンスは低下するものの、一方で性的魅力である性フェロモンの放出量は羽化28日後にピークを示した。この「繁殖パフォーマンス」と「性的魅力」の時期の不一致について生態的意味の検討を行う。 さらに、交信撹乱下で未交尾のまま取り残された雌成虫は、より大量の性フェロモンを放出する事で交信攪乱剤の役割を担う可能性がある。また、大量の性フェロモンを放出して雄成虫を引き寄せることで、羽化直後の繁殖パフォーマンスが高い雌成虫の交尾の機会を減らしている可能性がある。これらの理由により、蛾類などの交信撹乱に比べて高い次世代密度抑制効果が表れる可能性がある。これを評価する手法について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品や旅費など計画的に使用したが、1,000円程度端数として残ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と合わせて有効に利用する。
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