2015 Fiscal Year Research-status Report
森林管理による樹種多様性の違いが窒素貯留機能に与える影響の微生物学的解明
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26450477
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 千佳 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30413892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清和 研二 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40261474)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 森林管理 / 間伐強度 / 樹種多様性 / 土壌微生物 / 窒素循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林管理の異なる人工スギ林の樹種多様性と成長について、調査を行った。東北大学大学院農学研究科川渡フィールドセンター内の尚武沢地区のスギ人工林で20年生時に一回目の間伐、25年生時に2回目の間伐を行った試験地を用いた。間伐強度は、無間伐、33%の弱度間伐、67%の強度間伐の三段階とし、それぞれ三回反復した。各処理区に設定したコアプロットにあるスギ全ての個体の胸高直径、無作為選出した10個体程度の樹高と枝下高を測定しした。広葉樹についても、プロット内で樹高1.5m以上のだった全ての個体の種名と胸高直径を測定した。 その結果、スギは残存木の密度の減少に伴い、林分材積も間伐強度が高いほど減少した。一方、広葉樹の林分材積生産は、間伐強度が高いほど飛躍的に増加した。直径頻度分布は、間伐が強度なほどスギの個体数は減少するものの、大きく成長した個体が見られるようになった。広葉樹も同様に、強度間伐ほど数多く侵入し大きな個体が見られるようになった。間伐から10年以上経過すると、弱度区は草本や広葉樹が多数侵入しているが、森林の下層で見られる程度にとどまっているのに対し、強度区は林冠が開いたままの状態で、多くの広葉樹が林冠を目指し、既に中層へ達していた。強度間伐区では、スギの林分材積成長量と形質は弱度より劣るが、スギ・広葉樹ともに個体レベルでの成長量が最大となり、大径材生産が望める結果になった。さらに広葉樹の林冠レベルの種多様性回復とそれに伴い高い生態系機能の回復が期待された。今後、これら土壌の窒素循環機能と樹種の多様性との関係について明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで2年間の調査において、土壌のアンモニア酸化微生物の間伐強度における関係性は、明らかになってきた。また、間伐強度の違いによる樹種の多様性や成長度についても明らかになってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は最終年度のため、窒素循環に関わる微生物についても脱窒菌にも着目し、また、間伐強度の違いによる樹種の違いに伴い、土壌の根の構造や根の量にも違いがあることから、これらの違いと土壌微生物との関係性、窒素循環との関係性を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
H27年度は樹木調査を主に行ったため、微生物解析や土壌分析は行わなかったため、これらの予算が余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は、前年度2年間の集大成とするために、土壌分析や微生物解析等を網羅的に行う予定である。また、これまでの樹種の多様性と微生物の関係性を明らかにすることもあり、特に、遺伝子解析の分析が多くなるため、これらにかかる消耗品として、前年度余剰金を活用する。
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Research Products
(1 results)