2014 Fiscal Year Research-status Report
庄内沿岸極浅海域に生息する嫌気的メタン酸化古細菌の多様性・活性評価および培養化
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26450478
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
服部 聡 山形大学, 農学部, 准教授 (40373352)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嫌気的メタン酸化 / メタン生成古細菌 / 硫酸還元細菌 / 堆積物 / 微生物生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では山形県庄内地方の最上川支流河口域の極浅部の堆積物を試料として、嫌気的メタン酸化古細菌(ANME古細菌)の生理生態を明らかにすることを目的としている。深度ごとに堆積物を分画後、遠心分離により間隙水を取得、イオンクロマトグラフにより各々の堆積物間隙水中の陽イオンおよび陰イオン濃度を測定した。得られたイオン組成を基に、各々の深度の堆積物に対応した人工汽水系を作製、これらを用いて深度ごとにスラリーを作製した。次いで、安定同位体標識メタンガスおよび硫酸塩を添加し、潜在的な嫌気的メタン酸化活性(以下AOM活性)を測定した。実験の結果、堆積物深度が深まるほどAOM活性が高くなる事が明らかとなった。また、異なる塩濃度条件下においてAOM活性を測定したところ、同一深度においては高塩濃度条件下においてAOM活性が高くなることが明らかとなった。なお、溶存メタン濃度およびメタン生成活性は堆積物深度が深まるほど高濃度・高活性であったことから、これらの結果とAOM活性には何らかの相関性があることが考えられた。次に、各種阻害剤存在下においてAOM活性を測定した結果、(A) メタン生成反応阻害剤存在下、(B) 硫酸還元反応阻害剤存在下、(C) 硫酸塩非存在下において同反応が著しく抑制された。これらの結果から、当該堆積物において見いだされたAOM反応は、逆メタン生成 (reverse methanogenesis)および硫酸還元反応の共役反応系である可能性、すなわち、メタン生成能を有するANME古細菌と硫酸還元細菌の微生物共生系により成立している可能性が示唆された。これらの微生物を取得するために、絶対嫌気培養実験系の構築を行った。現在、各深度の堆積物を植菌源として、各種基質存在下で集積培養を試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深度ごとの堆積物の取得、間隙水の性状分析、人工汽水反応系の作製を予定通り完了した。また、安定同位体標識化合物によるAOM活性の測定系の構築も予定通り達成した。各種阻害剤存在下、あるいは異なる塩濃度におけるAOM活性の測定も予定通り達成した。これらの実験により次年度に向けた有用な知見を得ていることから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
絶対嫌気培養実験系の構築を行ったので、集積培養および分離培養を重点的に行う。また、堆積物深度ごとにANME古細菌・硫酸還元細菌の菌叢解析を行うことにより、これらの微生物群の垂直分布を明らかにする。
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