2014 Fiscal Year Research-status Report
機能未知遺伝子が制御するダイズ耐塩性機構の解明と除塩型品種開発への利用
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26450479
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| Research Institution | Ibaraki University |
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Principal Investigator |
小島 俊雄 茨城大学, 農学部, 准教授 (70311587)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ダイズ / 塩ストレス / 耐塩性 / アルマジロリピート / ユビキチン－プロテアソーム |
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| Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、ダイズの機能未知遺伝子GmTDF-5をシロイヌナズナで過剰発現させると、塩の吸収が制限されることなく、高い耐塩性を付与できることを見出した。本研究では、GmTDF-5に関する塩ストレスの受容から耐塩性形質発現までの一連の分子生物学的研究を完成させ、除塩型・耐塩性品種の開発へと展開できる研究基盤の確立を目指している。
本年度は、先行研究で見出されたユビキチン－プロテアソームによるGmTDF-5タンパク質の分解制御が、ダイズの塩ストレス応答においてどのような生理的役割を果たすのかを明らかにするため、同機構の第一反応であるユビキチン化の標的となるリジン残基を特定することにした。塩ストレス処理したダイズ抽出物にさまざまなリジン変異型GmTDF-5タンパク質を加えた反応液に対して、プロテアソーム阻害剤MG-132添加の有無による分解性の違いを調べたところ、N末端から20番目のリジン残基に変異を入れたGmTDF-5のみがMG-132添加の有無に関わらず分解されなかった。これは、このリジン残基がユビキチン化の標的となっていることを強く示唆している。GmTDF-5は、塩ストレスに対して転写レベルで迅速かつ多量に誘導される一方、翻訳後、ユビキチン－プロテアソームによりタンパク質量が厳密に制御されていることから、同タンパク質の機能は植物細胞内で迅速かつ厳密に制御されなければならない塩ストレス応答・耐性機構に作用していることが推察された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GmTDF-5がユビキチン－プロテアソームによって分解されるため、これまで植物体や培養細胞を用いたin vivoでのタンパク質機能解析で安定した結果を得ることができなかった。また、GmTDF-5は、タンパク質結合に関与するドメイン、アルマジロリピートを保有するため、酵母ツーハイブリッド法による結合タンパク質の同定を試みたが、酵母内でGmTDF-5の発現が安定しなかったため、候補タンパク質をスクリーニングできなかった。しかし、本年度の研究成果により、ユビキチン化されるリジン残基を特定できたため、同アミノ酸を変異させたGmTDF-5タンパク質を用いることで、安定したin vivo解析系を構築できるようになった。現在は、変異型GmTDF-5タンパク質を用いた酵母ツーハイブリッド法による結合タンパク質の同定、同変異型タンパク質を発現するシロイヌナズナの作成および同系統の耐塩性・表現型の調査などを進めている。
以上、平成26年度の研究成果および準備状況から「おおむね順調に進展している」と評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、次の3項目について解析する。(1) GmTDF-5結合タンパク質の同定：リジン変異型GmTDF-5を発現する酵母を用いたツーハイブリッド法を実施し、GmTDF-5に結合するタンパク質群を同定する、(2) GmTDF-5が機能する植物組織の特定：レポータータンパク質を用いたin vivoプロモーター解析により、GmTDF-5タンパク質が塩ストレス存在下で局在する植物組織を特定する、(3) GmTDF-5機能に対するユビキチン－プロテアソームによる分解制御：変異型GmTDF-5などを導入した形質転換植物を作出し、その耐塩性と内在遺伝子群の発現性から、GmTDF-5が関与する耐塩性形質の特定とユビキチン－プロテアソームが果たす生理的役割を明らかにする。
以上の成果をもとに、塩ストレス応答・耐性機構におけるGmTDF-5の分子機能および生理機能を解明する。
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| Causes of Carryover |
当初予定していた器具・物品より安価な代替品を購入できたため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の推進方策に示した「GmTDF-5結合タンパク質の同定」「GmTDF-5が機能する植物組織の特定」「GmTDF-5機能に対するユビキチン－プロテアソーム分解制御」に必要な試薬・器具などの消耗品を購入する。次年度使用額（B-A）については器具・物品（主に消耗品）の購入費として使用する。そのほか、研究成果を発表するための旅費と投稿論文の英文校閲費、マイクロアレイ解析費などに使用する。
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