2014 Fiscal Year Research-status Report
グリーンインフラストラクチャー指標を用いた空間計画の効果測定手法の開発
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26450490
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木下 剛 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30282453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YE 京禄 千葉大学, 園芸学研究科, 特任講師 (10450347)
永瀬 彩子 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (80544535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | GIスコア / GI機能 / 地域ニーズ / 地区 / 開発行為 / デザイン / マネジメント / 基本計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
英リバプールのGI戦略で検討された「グリーンインフラ(GI)指標を用いた空間計画の効果測定手法(様々な土地の利用や開発行為、環境の保全・再生においてGIが効果的に増進・保護されるのかどうかを事前に評価する手法)」としてのGIスコアは、GIに期待される様々な機能のうち、自然な水循環を支える土壌特性、植生の健全度・自然度等の、基本的ではあるがごく一部の機能発現の可能性を評価するものであり、多様かつ固有の地域ニーズを充足するか否かを的確に評価する指標とはなっていない。しかしながら、同GI戦略は、GIに求められる機能とその充足度を地区レベルで特定し、その結果がディベロップメントプラン(DPDs)に反映されることで、個別の開発行為に対して、当該地区においてより必要度の高いGI機能の誘導を可能としている。つまり、GIの効果はたんにGIスコアのみで評価できるものではなく、GI戦略に基づきDPDsに規定された「GIの保護・増進に係る地区別の方針」と整合するデザイン/マネジメントが、個別の開発行為の中で実現されているか否かも含めて評価すべきである。 一方、「日本の土地利用や開発行為に適合したGI指標並びにGIの保護・増進を効果的に誘導するデザイン/マネジメントのためのガイドラインの開発」については、一部の先進的自治体で行われているように、CASBEEやSEGES等による事前評価を義務化する(開発行為の許可要件とする)ことが早道である。しかし、CASBEEやSEGES等の認証では、屋外環境や緑に期待されるニーズ・機能を地区のような小さなエリアで特定し、個別の開発行為において実現するというようなプロセスは前提とされていない。そこで、GIに求められる機能を地区別に把握する役割を緑の基本計画や都市マスタープラン等に担わせることが想定される。ガイドラインはこうした内容も含めて検討されるべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
エフォートが当初の想定どおり確保できなかったことに加えて、研究を進めていく過程で、研究の目的に照らして、より重要な研究対象が見出されたことによる。具体的には、GIの保護・増進の効果をより高める方法については、GIスコアによる事前評価のみならず、都市計画によって地区別のGI保護・増進の方針を明確にし、個別の開発行為をその方針と整合させることが大切であり、そのことを含めて事前に評価する方法論を構築する必要があるとの認識に至ったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)GI政策に係る海外調査 広域レベルのGI計画と整合性をもったGI関連プロジェクト(敷地レベル)を対象として、地域の課題やニーズを敷地レベルのデザイン/マネジメントに反映させるしくみおよびデザイン/マネジメントの実際(技術的側面)について把握する。ロンドン東部地域(英国)ほかでの聞き取り調査及び現地踏査を予定。 2)GIマップの作成と地域ニーズの充足度評価の試行 既存の統計データや地理空間情報を最大限に活用して、日本の市街地形態・土地利用特性に適合した簡便なGIマッピングの方法について検討する。また、洪水リスクを軽減するためのGI計画及びアクションプランを作成。千葉県東葛地域の洪水常襲地帯・国分川流域を対象として検討予定。 3)上記3を実現するための政策・施策枠組みの検討 既存の計画制度・事業制度を横断的に運用しつつ、必要に応じて新たな制度設計も勘案し、日本の行政事情・制度環境に相応しいGI導入のための政策モデルの検討を行う。千葉県東葛地域の洪水常襲地帯・国分川流域を対象として、基礎自治体間(市川市・松戸市・鎌ヶ谷市)の広域連携の可能性も探る。
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Causes of Carryover |
上述した理由により、予定していた海外調査及び国内調査が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述した「今後の研究の推進方策」に加えて、平成26年度に実施できなかった海外調査及び国内調査を実施する。
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