2014 Fiscal Year Research-status Report
ジャガイモ塊茎形成におけるフロリゲン複合体の機能解析および育種への展開
Project/Area Number |
26450502
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
田岡 健一郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00467698)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ジャガイモ / フロリゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャガイモの塊茎促進に関わるフロリゲン複合体の構成要素の候補の単離を行なった。 ジャガイモゲノム配列情報を基に、イネ花成制御に働くフロリゲン複合体構成要素のホモログを網羅的に同定し、次に、それらの中で、ジャガイモ塊茎分化前のストロン組織で強く発現する遺伝子をRT-PCR法により同定した。次にフロリゲン受容体である14-3-3の塊茎促進における役割を明らかにするために、フロリゲンおよび様々な14-3-3結合喪失変異を導入したフロリゲンを発現させる形質転換ジャガイモを作製し、14-3-3相互作用能が塊茎促進に重要であることを明らかにした。ジャガイモゲノムに見出されるすべての14-3-3アイソフォームについて、RT-PCRによる組織特異的発現解析を行なったところ、調べたほぼすべてが塊茎形成前のストロンで強く発現していた。そして、フロリゲンとの相互作用について14-3-3アイソフォーム特異性を、酵母ツーハイブリッド解析により調べたが、1つを除くすべてが強く相互作用していた。酵母ツーハイブリッド解析で特に強い相互作用を示したものについて、BiFC法やpulldown法による相互作用解析を行なった。そしてさらに、変異導入フロリゲンについても同様の解析を行い、両者の相互作用が特異的なものであることを確認した。次に、先に候補として同定したFDホモログやTFL1ホモログについて、同様の14-3-3との相互作用解析(酵母ツーハイブリッド法、BiFC法、pulldown法)を行ない、過剰発現体やRNAiによる発現抑制体を作製した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年の実験計画のほぼすべてを予定通り終了させた。塊茎を誘導するフロリゲンの直接な標的遺伝子と考えられる初期応答遺伝子の同定については、計画した実験では今のところ成功していない。実験条件を再検討して今年度も引き続き行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた結果を基にして、前年度に引き続き必要な形質転換体(FDホモログやTFL1ホモログの過剰発現体やRNAi植物体)を作製する。すでに作製された形質転換体については、順次、鉢植えにして長日条件下で塊茎形成能を調べる。同時に、実験スペースをとらず観察が容易な試験管内での塊茎誘導アッセイ系を用いて塊茎形成能を評価し、導入遺伝子の役割を明確にする。前年度に同定できなかったジャガイモフロリゲンの標的遺伝子の同定を行う。塊茎が形成されるストロンでの詳細な発現解析を行なうため、FDホモログやTFL1ホモログのプロモーター領域をクローニングし、プロモーターGUS解析のための形質転換体を作製する。
|
Causes of Carryover |
形質転換植物の作成が予想以上に順調に進んだため、作成に必要とされる試薬や消耗器具を新規購入することなく既存のストックでまかなうことができた。そのため、計画より少ない支出で結果が得られた。一方で、フロリゲンの初期応答遺伝子の同定実験は、予備実験から予想外に困難であったため、一時中断した。以上の理由から支出が予定より少なくなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に計画している植物の機能解析には、多くの試薬購入を必要とする。特に、前年度に成功しなかったフロリゲンの初期応答遺伝子の同定実験は予想外に困難であったため、当初予定より多くの条件設定実験を必要とする。次年度使用額は、その実験に関する試薬購入や論文作成の費用などにあてることで、全体の計画を当初の予定通りに遅滞なく進ませる。
|