2014 Fiscal Year Research-status Report
動的キラリティーを持つエノラート中間体を利用した生物活性天然物の不斉全合成
Project/Area Number |
26460006
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 智之 京都大学, 化学研究所, 助教 (20432320)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | α-アリール化 / 不斉記憶 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Altemicidin 全合成の鍵反応となる,不斉記憶型αーアリール化反応を検討した。エノラートのαーアリール化反応で用いられる求電子剤はそれ単独では反応が困難なため,パラジウムなどの遷移金属触媒を使用し高温(室温)を必要とする場合が多い。しかし,不斉記憶型反応ではラセミ化を促進する高温条件下の反応は不適である。そこで,反応性が高い求電子剤としてベンザインを用いる反応を検討することとした。Altemicidin の全合成では分子内反応への展開が必要であるが,本反応の一般性検証の目的で分子間反応への適応を初めに検討した。 フェニルアラニン誘導体を出発原料に用い,ベンザイン発生のための前駆体,溶媒,反応温度などを検討したもののベンザインの高い反応性のため目的物は低収率でしか得られなかった。また,当初予想したα-アリールエステルでは無く,エノラートとベンザインが[2+2]型反応したベンゾシクロブタノン誘導体が得られた。この際副生成物として,ベンゾシクロブタノンのケトカルボニル部位にブチル基が導入されたアルコールも同時に得られた。これは,o-ジブロモベンゼンからのベンザイン発生に過剰量のブチルリチウムを用いたためと考えた。そこで、キラルエノラート生成後,o-ジブロモベンゼンとフェニルリチウムから系中でベンザインを即座に発生させることで所望のベンゾシクロブタノンが中程度の収率で得られるようになった。また,バリン誘導体を用いると,92% ee という高い光学純度で生成物が得られることが分かった。現在,全合成に向けて分子内反応への展開と基質合成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベンザインとエノラートとの反応が今までにほとんど報告例が無く全合成を行う前に,本反応の反応性と一般性を検証する必要があった。そのため,当初の予定よりやや遅れ気味になっている。また、altemicidin の鍵反応となるαーアリール化の基質合成も,思ったより困難で種々の反応条件検討,ルート変更を行っている。 その他の天然物の前駆体合成も同時に行っているものの,予想外の副反応や興味深い反応の発見のため当初の予定より遅れ気味である。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書にある metachromin J, epilolide, altemicidin 合成のための鍵反応前駆体合成に向けて,当初の計画以外の方法でも検討していく。得られた基質に関して,不斉記憶型反応を検討し反応条件の最適化を行っていく。その際,溶媒効果,塩基の効果が不斉収率に多大な影響を与えるためこれらの条件を網羅的に検討し,目標を達成する。
|
Research Products
(4 results)