2015 Fiscal Year Research-status Report
動的キラリティーを持つエノラート中間体を利用した生物活性天然物の不斉全合成
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26460006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 智之 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20432320)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 天然物全合成 / 不斉合成 / 不斉記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)C-N軸性不斉エノラートを経由する不斉反応を活用する,抗腫瘍活性天然物アルテミシジンの全合成を計画した。初めに、鍵となるアミノ酸誘導体の C-N 軸性不斉エノラートを経由するα-アリール化反応の開発を行った。アミノ酸としてバリンのベンジルエステルを基質として用い求電子剤としてベンザインを反応させた。条件検討初期では,複雑な混合物を与えるだけであったが、ベンザインの発生法などの条件を精査することで,所望のα-アリール体が 52% 収率,95% ee で得られることを見いだした。現在、全合成に向けて合成ルートの開発を展開している。またこのとき,アミノ酸誘導体にベンジルエステルを利用すると,C-N 軸性不斉エノラートのラセミ化半減期が延長するという興味深い現象を発見することが出来た。そこで、この点に興味を持ち医薬品になる化合物に多く含まれるフッ素原子の高エナンチオ選択的導入が可能になると考えて研究を展開している。 2)C-O 軸性不斉エノラートを経由する不斉反応を用いたエピリオリド及びその水和物の合成に着手した。しかし,鍵反応の基質合成が困難であり、別ルートによる合成も検討している。別ルートにおける鍵反応は合成終盤における不斉カルベン触媒による分子内環化とエポキシドに対する位置選択的アセチレン導入反応で、現在、種々のルイス酸及び添加剤を用いて位置選択的アセチレン導入反応について条件検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた鍵反応の基質合成が順当に行えていない。その為、鍵反応の変更と基質合成の変更を行っている。このことにより、研究の進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最大の目的は,研究計画に挙げた生理活性天然物の全合成完遂である。その為、鍵反応を不斉記憶型反応にとどまらず,種々の不斉反応を検討し効率的全合成ルート確立を目指す。
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Research Products
(8 results)