2014 Fiscal Year Research-status Report
プロパルギルアルコールの直接的活性化を経る連続的環化反応の開発
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26460009
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10344681)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロパルギルアルコール / 活性化 / パラジウム / ルイス酸 / 求核剤 / 連続的環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラジウム触媒存在下プロパルギルアルコールとβ-ジカルボニル化合物を作用させることで水酸基の直接的活性化を経る連続的な環化反応が進行し、テトラヒドロベンゾフラノンが生成するか検討した。反応条件は申請者により既に報告されているプロパルギルエステルを用いた環化反応の条件に準じ、ジフェニル置換プロパルギルアルコールと1,3-シクロヘキサンジオンに対し、様々なルイス酸存在下にて反応を行うことで効率的に水酸基を活性化しうる条件を精査した。検討の結果、1当量のB(OH)3を作用させると予期した反応が進行し、望む環化体が45%の収率で単一の生成物として得られた。一方でBF3OEt2を作用させた際は基質の分解に留まり、触媒量のSc(OTf)3存在下では反応は進行するものの低収率に留まった。そこで環化体の更なる収率の向上を目指し活性化剤にホウ素化合物を用いた検討を中心に行った。その結果、ルイス酸としてトリイソプロピルボレートを用いると予期した反応が進行し、目的とするテトラヒドロベンゾフラノンが生成することを見いだした。更にホスフィン配位子を変えて検討を行った結果、二座配位子であるBINAPを用いると収率の向上がみられ、収率80%で環化体が生成することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロパルギルエステルはパラジウム触媒存在下様々な反応剤と反応し、多様な生成物を与えることが報告されている。中でもプロパルギルアルコールは容易に合成であることから、有用な合成素子として注目を浴びている。しかしながらパラジウム触媒存在下におけるプロパルギルアルコールの直接的置換反応は水酸基の脱離能の低さからこれまでほとんど知られていなかった。今回、パラジウム触媒存在下におけるプロパルギルアルコールの直接的活性化に着目し、連続的環化反応が進行しうるか検討を行った。その結果、ジフェニル置換プロパルギルアルコールと1,3-シクロヘキサンジオンに対し、活性化剤としてトリイソプロピルボレートをパラジウム触媒存在下作用させると、プロパルギルアルコールの直接的活性化を伴う予期した反応が進行することが明らかとなった。本条件は他の基質に対しても適用可能であると考えられ、本研究の進捗状況は順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては、プロパルギルアルコールの直接的活性化を伴う連続的環化反応の最適条件化を引き続き検討し、より汎用性の高い条件の探索を行っていく。これまでの研究でトリイソプロピルボレートが水酸基を適切に活性化することが明らかとなっているが、1当量必要であることから、触媒化の検討を行っていく。また併せてホウ酸等のより安価な活性化剤でも同等の反応性を示すか詳細な検討を実施する予定である。更に得られた最適条件をもとに、様々なβ-ジカルボニル化合物を求核剤に用いたプロパルギルアルコールとの連続的環化反応を試み、基質一般性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
26年度は研究室既存の試薬、器具等を使用したため高額物品の購入がなかったため、27年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は連続的環化反応の条件最適化開発に加え、様々な反応基質を用いた基質一般性に関する検討を予定しており、試薬を中心に多数の物品購入が見込まれる。27年度は26年度に繰り越した研究費と併せてこれらの物品購入に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)