2015 Fiscal Year Research-status Report
エナミンおよびアザ-エナミンのエン型反応を活用する新規な含窒素化合物構築法の開拓
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26460010
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉浦 正晴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (00376592)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 反応開発 / ワンポット反応 / エナミン / 含窒素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は、エナミンとアルデヒド(もしくはイミン)とトリクロロシランからアミノアルコールやジアミンを合成する方法を見出した。さらに、この過程でN-トシルイミンとエナミンが速やかにエン型反応することを見出した。これを契機に本申請研究では、「1.エナミンとイミンとのエン型反応を利用する1,3-ジアミンの立体選択的合成法の開発」「2.エナミンと他の親電子剤とのエン型反応への展開」「3.アザ-エナミンへの拡張による1,2-ジアミンやアミノ酸合成への展開」を目指している。前年度は、1について学術論文を発表することができ、2について端緒を得ることができた。今年度は、以下の成果を得た。 (1)N-トシルイソシアナートとエナミンとのエン型反応生成物に、ワンポットで酢酸およびNaBH3CNを作用させたところ、良好な収率および高いcis選択性でβ-アミノ酸誘導体を合成できた。一方、N-トシルイソシアナートとトリクロロシランにエナミンを作用させると、中程度の収率ではあるが、trans体のβ-アミノ酸誘導体のみを合成できることを見出した。 (2)エナミンとのエン型反応について、ある種の環状イミンが鎖状のN-トシルイミンとは異なる立体選択性で進行することを見出した。すなわち、環状イミンとエナミンとのエン型反応生成物を、酢酸存在下NaBH3CNで還元したところ、結晶性の生成物を得ることができ、そのX線結晶構造解析によりエン型反応がsyn選択的に進行していることが分かった。 (3)アザ-エナミンとして1-(tert-ブチル)-2-メチリデンヒドラジンを用いてN-トシルイミンとの反応を試みたところ、エン型反応生成物が良好な収率で得られることを見出した。また、アルキリデンヒドラジンとの反応では、まだ低収率ではあるものの良好なジアステレオ選択性でエン型反応生成物が得られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画していた「2.他の親電子剤との反応」に関して、ある程度の知見を得ることができた[研究実績(1)(2)]。また、「3.アザ-エナミンへの拡張」の端緒を得ることができた[研究実績(3)]。以上から、順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実績(1)(2)については、学術論文にまとめるべく検討を続ける。また、端緒を得た研究実績(3)について展開を図りたい。さらに、脱保護容易な窒素上置換基を持つエナミンやイミンの探索、反応の不斉触媒化を行いたい。以上により、様々な含窒素化合物の構築法へ展開することを目指す。
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