2014 Fiscal Year Research-status Report
新規架橋多環式骨格構築法を基盤とするバークレージオン類の合成研究
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26460011
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中村 精一 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90261320)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗腫瘍活性 / メロテルペノイド / バークレージオン類 / 架橋多環式骨格 / ポリエン環化反応 / エポキシアリルシラン / いす形-いす形遷移状態 / プロトオースチノイドA |
Outline of Annual Research Achievements |
抗腫瘍性メロテルペノイドであるバークレージオン類の合成に向け、鍵となる架橋多環式骨格構築反応の検討を行った。 はじめに、モデル化合物を用いてBCD環部に相当する三環性骨格構築反応の最適化を行った。基質C4位の置換基効果を調べたところ、ビニル基の場合に最もよい結果を与えることが分かった。そこで、反応条件を種々検討した結果、塩化メチレン中-98℃で塩化ジエチルアルミニウムを作用させると、収率72%で目的とする化合物が単一異性体として得られることを見出した。なお、副生する二環性化合物を同条件下で反応させても目的化合物は得られないことから、協奏的ないす形-いす形遷移状態を経て環化が進行している可能性が示唆された。 以上の結果を踏まえ、次に四環性骨格の一段階構築を試みることにした。基質となるエポキシアリルシランは、パン酵母による不斉還元で得られる文献既知化合物を出発原料として用い、スルホンのアルキル化、熊田-玉尾-Corriuカップリング、Sharplessエポキシ化などの20工程を行うことで立体選択的に合成できた。この化合物に対して塩化ジエチルアルミニウムを作用させたところ、望みの反応が立体選択的に進行し、四環性化合物がやはり単一異性体として得られることが明らかになった。第四級のもの4つを含む、6つの不斉中心を一挙に構築することに成功し、プロトオースチノイドAの持つ全ての第四級不斉炭素および四環性骨格の構築を達成できたことになる。 最後に、D環部官能基化の足掛かりとなるTBSオキシ基をC8位に導入したエポキシアリルシランを調製し、三環性骨格構築反応を行った。しかし、目的化合物の収率は40%に留まったことから、今後はD環上の置換基効果について検討する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
D環部官能基化の足掛かりとなるTBSオキシ基をC8位に導入した基質を用いると、C環が形成されていない二環性化合物が主生成物として得られ、新たにD環上の置換基効果を調べる必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
D環上の置換基効果を調べ、高収率で目的とする環化生成物が得られる基質を見出す。その後A環部の構築、D環部の官能基化を経てバークレートリオンおよびバークレージオンの全合成を達成する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた試薬・溶媒を購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の遂行に必要な試薬・溶媒等、消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)