2014 Fiscal Year Research-status Report
連続的環化反応を基盤としたNF-κB阻害活性を有するent-カウレン類の合成
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26460018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 孝洋 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80367052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 天然物合成 / Diels-Alder反応 / 連続反応 / カウレン類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、連続的環化反応を用いたビシクロ[3.2.1]オクタン骨格効率的構築法の開発を基にしたNF-κB阻害活性を有するent-カウレン類の全合成および類縁体合成を目的とする。ent-カウレン類のうちD環が酸化されたent-カウレン-15-オン類はNF-κB阻害活性を示し、そのCD環部分がファーマコフォアと推定されている。そこでまずCD環部分に相当する官能基を備えたビシクロ[3.2.1]オクタン骨格を効率的に構築する方法論を開発し、その方法論を用いて、CD環構造を有する各種類縁体の合成とNF-κB阻害活性を有するent-カウレン-15-オン類の全合成を目指す。 本研究ではまず、ent-カウレン-15-オン類の効率的CD環構築を行うための方法論として、連続的環化反応を考案した。すなわち、2-シロキシブタジエンと側鎖にプロパルギル基を有するエノンとのディールス-アルダー反応によりC環を構築し、生じたシリルエノールエーテルと末端アルキンとの間で遷移金属触媒を用いた5-exo-dig環化反応によりエキソメチレンを有するD環部分を構築し、ビシクロ[3.2.1]オクタン骨格を得ることができる。基質の合成として、置換基を有するプロピナールとシクロヘキサノンとの森田-ベイリス-ヒルマン反応に成功し、側鎖に種々のプロパルギル基を有するシクロヘキサノンを得た。続いて、鍵反応である北原-ダニシェフスキージエンとの分子間ディールス-アルダー反応/遷移金属触媒を用いた5-exo-dig環化連続反応の検討のため、段階的に反応を試みた。その結果、ディールス-アルダー反応成績体を得ることに成功し、現在ent-カウレン-15-オン類のCD環部分の効率的構築法の確立を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関異動に伴う研究設備・備品などのセットアップ、人員の再配置・再教育などに予想より時間がかかり、当初の計画よりやや遅れ気味だが、順調に進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
現在、段階的に行っている反応を連続的に行えるか検討する。然る後、種々の基質を合成して連続的環化反応の適用限界を調査する。その際に、同時にent-カウレン類のCD環部分の誘導体合成も狙うことで、研究展開をさらに促進させる。
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Causes of Carryover |
本年度は研究の進展がやや遅れた分、未使用となる研究費が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究の進展が大いに期待できるため、消耗品等の購入により繰越分を使用する予定である。
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