2014 Fiscal Year Research-status Report
誘起CDに基づく実用的絶対配置決定法の確立とその起源解明への量子化学的アプローチ
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26460019
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
細井 信造 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60209236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 正行 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (20239982)
勝本 之晶 福岡大学, 理学部, 准教授 (90351741)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絶対配置決定 / 誘起円二色性 / ビナフチル / デカリン / ステロール / 立体選択的合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、誘起円二色性を基盤とする「誘起CD励起子法」を開発し、ステロール類の3位水酸基の絶対配置決定に適用できることを見出している。即ち、ステロール類を申請者らが開発したビナフチル型発色試薬と反応させ、得られた誘導体についてCDスペクトルを測定したところ、その多くが予想された分裂型CDではなく、210 nm および240 nm 付近に2つのCDバンドを示した。これは、分子内に存在するオレフィン発色団とビナフチル発色団との相互作用が影響していると考え、基質中に存在する全てのオレフィンを接触還元後、誘導体化した。その結果、還元前のCDスペクトルと大きく異なり、検討した全ての場合において240nm付近のUV吸収領域で分裂型CDを示した((3S) -: 正 ; (3R)- : 負)。本結果は、キラル2級アルコール類の検討結果と一致し、還元操作を必要とするものの、ステロール類においても3位水酸基の絶対配置を一義的に決定できることを示すものである。 そこで、本法の基質適用範囲の拡大を目指し、先ずステロール類のA/B環部に相当する3-ヒドロキシデカリン誘導体について3位水酸基の立体化学、A/B環結合、立体配座および5位二重結合の影響について調べ、必須構造要因を明らかとし、更に量子化学的アプローチにより、誘起CDの起源を明らかとすることを目的として、平成26年度は、モデル化合物の合成を試み、3-ヒドロキシデカリンの計12種類の立体異性体の立体選択的合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生成物の分離に工夫を要するものおよび収率の改善を必要とするものもあったが、予定していた全ての立体異性体を立体選択的に合成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の問題点および改善点について検討するとともに、合成した12種類の立体異性体についてそれらの誘導体化とCDスペクトルの測定、更には、立体配座解析および量子化学計算により、立体配座、立体配置および二重結合のCDスペクトルに与える影響等について検討する。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初の計画通りに予算執行できたが、現有の分光光度計の部品に交換の必要がなかったため、次年度への繰り越し金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し金については、分光光度計の部品または機器関連消耗品に使用する予定である。
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