2016 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of 1-substituted tetrahydroisoquinoline alkaloid utilizing intramolecular chirality transfer reaction
Project/Area Number |
26460020
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
河井 伸之 武庫川女子大学, 薬学部, 講師 (10411034)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 1,3-不斉転写 / 光学活性1位置換テトラヒドロイソキノリン / 過塩素酸触媒 / シュルゼインのベンゾキノリジン骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、アリルアルコールの水酸基を脱離基としたBi(OTf)3触媒による分子内1,3-不斉転写を介した方法で、光学活性1位ビニル置換テトラヒドロイソキノリンが高い選択性で合成されることを報告した。しかしながら、Bi(OTf)3触媒を用いた環化反応では、次のような問題点があった。(1) 比較的高価なBi(OTf)3無水物は水分に不安定であるため無水の溶媒や脱水剤を必要とし、不活性気体中で反応を行う必要があった。(2) Bi(OTf)3は用いる溶媒への溶解性が低いために、希釈条件下で反応を行う必要があった。(3) 高収率および高い不斉転写率を与えるには、低温を必要とした。一方、ブレンステッド酸触媒による反応では、プロトン化そして脱水により生成すると考えられる共役したスチリル型カチオン中間体を経由することから不斉転写は期待できない。ところが、過塩素酸を用いた場合には、5 mol%の触媒量で0 度にて5分以内で反応が収束し、高収率かつ高い不斉転写率で目的物を与えることを明らかにした。 約70%の水溶液として市販されている過塩素酸は安価であり、実験を行う上で多少の水を気にする必要がなくなるなど前述した問題点を解決できた。過塩素酸触媒による反応の基質一般性は高く、7位にメチル基を有する環化体も高い光学純度で合成を可能にした。本触媒的分子内1,3-不斉転写反応の特徴は、1) 環化体の1位置換基が様々な官能基へ変換可能なオレフィンを含むこと、2) 環化前駆体の不斉中心における立体配置のSとRを使い分けることで、1位にSまたはRの不斉中心を有するテトラヒドロイソキノリン骨格を選択的に作り分けできること、以上の2点である。本法の特徴を活かして、著者は両エナンチオマーが天然に存在するアルカロイドであるシュルゼインのベンゾキノリジン骨格を立体選択的に構築し部分合成を達成した。
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