2015 Fiscal Year Research-status Report
超原子価ヨウ素を利用した新規な糖鎖合成法の開発に関する研究
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26460022
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
梶本 哲也 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (80185777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北 泰行 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (00028862)
森本 功治 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 助教 (10543952)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / チオグリコシド / グリコシル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画に従い、無臭ベンゼンチオールである p-オクチルオキシベンゼンチオールを利用して、糖供与体であるチオグリコシドを調製し、続いて、活性化剤として種々の超原子価ヨウ素を利用してグリコシル化反応の収率、α体とβ体の比率などの結果を検討した。検討の結果、一般に、超原子価ヨウ素として 1等量のPIFA を用い、2等量のトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を添加した際に、短時間(数分)でグリコシル化が進行することを見出した。特に、2-phthalimide を有する D-グルコサミンや D-ガラクトサミンの誘導体をドナーとするグリコシル化においては、2級の水酸基を有するテルペン類だけでなく、立体障害の高い 3級の水酸基を有する fenchiol や borneol に対してもグリコシル化は容易に進行し、高収率でグリコシル化が進行することを見出した。 また、一方で、本グリコシル化を利用して、二糖合成も試み、40~87%の収率で期待する生成物を得ることに成功した。なお、本グリコシル化法を、1-methyl-thio-3,4,6- tri-O-acetyl-2-phthalimido-beta-D-glucopyranoside をドナー基質、1-O-methyl 2,3,6-tri-O-benzoyl-alfa-D-galactoside をアクセプター基質とした二糖合成では、立体障害の大きいアキシャル水酸基へのグリコシル化が比較的高収率で達成されたことから、今回、私達が開発したグリコシル化反応は、適用範囲の広い手法として複雑な生物活性糖鎖の合成にも利用できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無臭ベンゼンチオールである p-オクチルオキシベンゼンチオールを利用して、糖供与体であるチオグリコシドの合成にも成功し、また、本チオグリコシドの活性化に PIFA(1等量)/TfOH(2等量)の組み合せ系が優れていることを見出した。さらに、これらの知見をもとに、立体障害の大きい3級水酸基やガラクトース4位の水酸基のようなアキシャル水酸基へのグリコシル化反応を満足できる収率で達成することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、私たちが開発した新規グリコシル化法の適用範囲の拡大を目指し、アクセプター基質としてグリコシルスルホキシドを利用したグリコシル化反応について反応条件を検討する。 本グリコシル化反応によって得られるオリゴグリコシルスルホキシドは、トリフェニルホスフィンで還元することにより、オリゴチオグリコシルドナーへと変換できるため、グリコシル化と還元の繰り返しにより、従来ほとんどど報告されてこなかった「非還元末端からのグリコシル化」を可能にできる。
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Causes of Carryover |
当初の予定より、学会発表の機会を得ることができず、特に旅費において次年度繰越金が発生している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、積極的に発表の機会を得る努力をし、速やかに使用の予定である。
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Remarks |
2015年度まで、立命館大学総合科学技術研究機構に所属しており、2016年4月より、薬学部に異動した。現在は、旧所属部局の教員紹介がそのまま薬学部教員紹介に転載されているが、近日中に加筆修正を行い、最新の状況を発信する予定である。
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