2015 Fiscal Year Research-status Report
メチレンアセタールの新たな反応性の開拓とその複素環合成への応用
Project/Area Number |
26460023
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
前川 智弘 近畿大学, 薬学部, 准教授 (40363890)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | メチレンアセタール / 脱保護反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジオールは等に代表される様々な化合物に見られる重要な官能基であり、その保護及び脱保護法の開発は重要である。その中でメチレンアセタールは強固なジオールの保護基として用いられていたが、強固さ故にその脱保護には厳しい反応条件を必要としていた。これまで我々はメチレンアセタールの温和な条件下での変換反応に興味を持ち、種々検討を行ってきた結果、フェニルチオトリメチルシランとN-ブロモスクシンイミド(以下NBSと省略)の組み合わせにより、温和な条件下でのメチレンアセタールの開裂反応が進行し、ブロモホルメート体へと変換できることを見出した(平成26年度報告)。本年度は、メチレンアセタールの新規変換反応のさらなる応用について検討を行った。まず、塩素化及びヨウ素化について検討を行ったところ、フェニルトリメチルシランとN-クロロスクシンイミドの組み合わせでまずまずの収率ながら、塩素化も進行することが明らかとなり、塩素化も可能であることが明らかとなった。さらにメチレンアセタールから得られたブロモホルメート体の有用性を向上させるため、オキシラン環への変換反応を詳細に検討した結果、ナトリウムメトキシドを用いることで、高収率でオキシラン化合物を得ることに成功した。また、メチレンアセタールからの直接的な変換反応についても、フェニルトリメチルシランとNBSとの反応後、過剰量のナトリウムメトキシドを加えることで、ワンポットでのオキシラン化が高収率で進行し、ほぼ定量的にオキシラン環を与えることを見出した。また、本反応の反応機構の検討の中で、本試薬の組み合わせが効率的な芳香環の臭素化にも適用できることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標に挙げた、メチレンアセタールの温和な条件下での変換反応の確立、さらにワンポットでのオキシラン環への変換を達成することができた。また、もう1つのメチレンアセタール開環に伴う複素環合成についてはまだ良好な結果は得られていないが、それ以外の反応機構解明の検討において、新規芳香環臭素化反応を見出すことができたので、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も実施計画に基づき研究を遂行し、新たに得られた知見に関しても並行して検討を進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)