2014 Fiscal Year Research-status Report
不飽和結合の置換基効果を活用する新規タンデム反応の開発と創薬への応用
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26460025
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
柳田 玲子 広島国際大学, 薬学部, 教授 (80239821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 典子 広島国際大学, 薬学部, 助教 (40535580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヨードアジデーション / 位置選択的 / α,α-ジアジドケトン / ビスマス(III)触媒 / プロパルギルアルコール / アルキン / Meyer-Schuster転位 / 4-キノロン |
Outline of Annual Research Achievements |
1. アルキンへの位置選択的なヨードアジデーションを経るジアジドケトンの合成 2013年に報告した金属触媒を用いない三重結合の切断反応の応用として,芳香環上に電子供与性の置換基を有しないアリール基とアルキル基が置換したアルキンに対するN-ヨードスクシンイミドとトリメチルシリルアジドの付加反応を検討した.その結果,一般的な位置選択性すなわちベンジル位の炭素がカチオン性を有し求核剤の攻撃を受けると予想される選択性とは逆の位置選択性を示すヨードアジデーション化が進行し,主にZ-アジドヨードアルケンが得られた.E-体よりもZ-体が主となる理由としてエネルギー的安定性と"cis-effect"が考えられた.エネルギー的安定性に関しては計算化学の検討からZ-体の方がE-体よりも2kcal/mol以上安定であるという結果を得た.さらにアジドヨードアルケン中間体を経由してα,α-ジアジドケトンが生成することが明らかとなった.同様の反応をNISの代わりにNBSを用いて行うと一般的な位置選択性が見られた。
2. ビスマス(III)触媒を用いたプロパルギルアルコールのタンデム反応の研究 プロパルギルアルコール誘導体をアルコール存在下,トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス(III)で処理すると,Meyer-Schuster転位によりα,β-不飽和ケトンが生成し,続いてアルコールが1,4-付加しβ-アルコキシケトンが得られた.この反応を芳香環のオルト位にカルバメート基を有する化合物に適用したところ,中間体のα,β-不飽和ケトンへのカルバメート窒素の1,4-付加反応が進行し,対応する4-キノロン体をワンポットで得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は予定通りに進行しているわけではないが,可能な限り計画に沿った研究になるように修正を加えている.そのため達成度としては順調と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,同一分子内に窒素原子,酸素原子,三重結合を含む化合物を原料として,それらのカルボカチオン等価体に対する求核性の違いを利用する反応を検討している.その過程でイミノイソクマリンの生成反応を見出したので,これらに関して詳細に検討する.さらに同一分子内に窒素原子,酸素原子,三重結合を含む化合物と別の求核剤との反応についても詳しく検討する.
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Causes of Carryover |
計画通りに研究が進行せず,試薬代と溶媒代が当初の予定額より少なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究は遅れながらもほぼ順調に進んでいるので,今年はある程度高価な試薬を使用する予定である.また研究室の整備が未だ未完成のため,エバポレーター,冷却機,ダイヤフラムポンプなどの購入を予定している.
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Research Products
(11 results)