2015 Fiscal Year Research-status Report
計算創薬のための蛋白質複合系の精密構造・相互作用解析手法の開発
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26460035
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 成典 神戸大学, システム情報, 教授 (10379480)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インシリコ創薬 / リガンドドッキング / 電子状態計算 / 相互作用解析 / クラスター分析 / ハイパフォーマンスコンピューティング / フラグメント分子軌道法 / 産官学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、主としてフラグメント分子軌道(Fragment Molecular Orbital; FMO)法に基づくタンパク質-リガンド分子複合系の大規模電子状態計算を行い、構造ベース・インシリコ創薬(ドラッグデザイン)の基盤技術を構築することを大きな目標としている。平成27年度は、一昨年立ち上げた「FMO創薬コンソーシアム」を軸として、産官学(製薬企業10社以上)の連携で、スーパーコンピュータ「京」などを用いて、様々なターゲットタンパク質に対するFMO相互作用解析を行い、実際に構造ベースのインシリコ創薬を遂行する上での技術ノウハウの蓄積を進めた。具体的な系としては特に、発ガンに関わるキナーゼp38とその約90種類のリガンド分子との相互作用解析を実行し、実験で得られている活性値との比較を行うとともに、既に開発済みの、また新規に開発した(SOM、MDS、SVDなど)クラスタリング手法の有効性を検証した。さらに、その周辺の技術開発として、1)リガンドドッキングのスコア関数の最適化手法の開発、2)タンパク質周辺の水による溶媒効果の検討、3)エントロピー効果の記述法の開発、なども行った。ターゲット系としては、キナーゼ以外にも、エストロゲン受容体(ER)、血管内皮リパーゼ(EL)、Rasタンパク質などの解析も行っており、細胞中での様々な構造を得るために、Protein Data Bank構造から出発した分子動力学(Molecular Dynamics; MD)計算も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で述べた「FMO創薬コンソーシアム」における産官学共同プロジェクトに関しては、平成27年度「京」を含むHPCIシステム利用に関する研究課題「HPCIを活用したFMO創薬プラットフォームの構築」(課題番号:hp150160)において、スーパーコンピュータ「京」を活用した大規模計算・解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
「FMO創薬コンソーシアム」の成果に関しては、今後、ホームページなども活用した公開を進めていく。また、理研播磨のSPring-8や理研横浜研究所のNMRと連携した構造ベース創薬の推進も重要なミッションと考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年度は従来計画よりもソフトウェア購入費や旅費が低く抑えられた(代替ソフトの利用や他予算による海外出張補助など)ため、平成28年度に回して有効活用するのがよいと考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度として、海外出張や報告書・ワークショップ等による成果発表に充てることを予定している。
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Remarks |
上記の、神戸大学計算科学教育センター遠隔講義「計算生命科学の基礎」では、本研究課題の研究代表者がオーガナイザーとなって、生命科学研究への分子シミュレーション手法の適用に関するレクチャーを全国に向けて配信している。
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Research Products
(13 results)