2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of theoretical methods for interaction analysis of protein-ligand systems in computational drug design
Project/Area Number |
26460035
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 成典 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (10379480)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | インシリコ創薬 / リガンドドッキング / 電子状態計算 / 相互作用解析 / クラスター分析 / ハイパフォーマンスコンピューティング / フラグメント分子軌道法 / 産官学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は「FMO創薬コンソーシアム」の活動と連携して、キナーゼp38に対する100種類近くのリガンド分子の結合構造に対して行ったフラグメント分子軌道(FMO; Fragment Molecular Orbital)計算(MP2/6-31G*レベル)の結果を基に、IC50などの活性値との相関を良くする(説明する)ための系統的な解析・検討を行った。出発構造における残基や原子の欠損の補完や水素付加、構造最適化、リガンドの分子構造によるクラスタリングなどを注意深く行うことで、結合エネルギーの計算値(IFIE; Inter-Fragment Interaction Energy)と実験値との合理的な整合性がとれるようになった。また、リガンド種とアミノ酸残基で構成したIFIE行列に対する特異値分解が相関の改善に有用であることもわかった。薬剤設計のための、これらの第一原理的なFMO解析に加えて、その周辺の理論解析として、モルビリ(麻疹)ウイルスと3種類のレセプターに対する結合親和性のFMO解析や、ガンに関わるRas/Rafタンパク質複合体の分子動力学計算、リガンドドッキングシミュレーションにおけるタンパク質の構造変化を考慮したFlexible Dockingシミュレーションの手法開発や、水の局所的な熱力学を考慮したドッキングのスコア関数の改良、生体分子周辺の水の水素結合ネットワークのもつエントロピーの動的変動の評価なども試みた。平成26-28年の3年間の研究を通して、生体分子系の第一原理的な電子状態計算を可能とするFMO法をベースに、X線結晶構造解析や分子動力学シミュレーションで得られた構造を用いてドラッグデザインを効率的かつ定量的に行うための様々な計算技術基盤が構築され、また上記FMO創薬コンソーシアムを通して、製薬企業などの数多くの研究者に技術提供することができた。
|
Remarks |
遠隔講義「計算生命科学の基礎III」のオーガナイザーを務めた。
|