2014 Fiscal Year Research-status Report
巨大リポソームを用いた標的特異的分泌系の開発とDDS及び間接経口投与系への展開
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26460041
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
平嶋 尚英 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10192296)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DDS / 人工細胞 / リポソーム / エクソサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細胞サイズの巨大リポソームに小リポソームを内包させ、特定の分子を認識した際に、内包した小胞が巨大リポソームと膜融合し、小胞内容物を放出するという人工分泌系の開発とそのDDSへの展開を行なうものである。 平成26年度は、カルシウムチャネルとしてOrai-1を大腸菌に発現させ、精製単離し、巨大リポソームに組み込むことを行なった。 ラット好塩基球細胞株であるRBL-2H3細胞からRT-PCRによりOrai-1のcDNAを単離し、Hisタグつきの大腸菌発現プラスミドであるpET28に組み込んだ。pET28-Orai-1を大腸菌で発現させ、Hisタグを利用してアフィニティ精製を行なった。精製後、抗Orai-1抗体でOrai-1の発現を確認した。 次に、w/oエマルション法により、細胞サイズの巨大リポソームの調製を行い、直径約10μmほどの細胞サイズの巨大リポソームを得、これに精製したOrai-1を組み込んだ。巨大リポソームへのOrai-1の組み込みを確認するために、組み込み後の巨大リポソームのSDS電気泳動と抗Orai-1抗体を用いた免疫染色による解析を行なった。SDS電気泳動でタンパク質が確認されたものの、免疫染色では、巨大リポソーム内部がほぼ均一に染色され、リポソーム膜への組み込みは確認できなかった。巨大リポソームとOrai-1を混合する単純法において、インキュベーション時間やタンパク質とリン脂質の濃度比、リン脂質の組成など条件を検討したが、組み込みは確認できなかった。そこで、w/oエマルション法で細胞サイズの巨大リポソームを調製する際に、Orai-1を油層でリン脂質と混合する方法、油層と水層界面のリン脂質層にOrai-1を置く方法を試みたが、巨大リポソーム膜へのOrai-1の組込みは確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
精製したOrai-1のリポソームへの組み込みが十分ではない。 タンパク質の精製と細胞サイズのリポソームの調製はそれぞれウエスタンブロッティングと蛍光顕微鏡により確認できたので、タンパク質のリポソームへの組み込み効率の低さが問題である。 orai-1の電荷や細胞サイズのリポソームの膜流動性や硬さが問題と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の細胞サイズのリポソームへの組み込み効率の低さが問題であるが、orai-1の電荷や細胞サイズのリポソームの電荷、膜流動性、硬さなどが問題と考えられる。 そこで、細胞サイズのリポソームのリン脂質の組成をさまざまに変え、orai-1が効率よく込み込まれる条件を検討する。 また、界面活性剤を用いたタンパク質のリポソームへの組み込みもあわせて検討する。この場合膜におけるOrai-1の向きはランダムになるが、半数のOrai-1が組み込まれていれば、研究の目的は達せられる。
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Causes of Carryover |
本来26年度は1,300,000円の予算であったが、500,000円前倒し支払い請求を行なった。ほぼ予定通り執行したが、わずかながら(4,335円)執行残が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前倒し支払い請求後に平成27年度に使用予定である1,000,000円とともに執行する。わずかな学であり、特に計画の変更はない。
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