2016 Fiscal Year Research-status Report
固相マイクロ抽出法に基づく生体酸化損傷マルチマーカーの同時分析システムの開発
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26460053
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 固相マイクロ抽出法 / オンライン自動分析 / 生体酸化ストレス / バイオマーカー / LC-MS/MS分析 / 8-OHdG / 8-イソプロスタン / 3-ニトロチロシン |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、前年度までに開発したDNAや脂質、蛋白質の酸化損傷を同時に捉える生体酸化ストレスマルチマーカーのオンラインインチューブ固相マイクロ抽出(SPME)/液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を用いて、生体試料分析に適用した。また、酸化ストレスと関連するバイオマーカーとして、ストレスホルモン類や糖化ストレスマーカーの分析法を検討した。 1. DNA酸化で生じる8-OHdG、脂質酸化で生じる8-イソプロスタン(8-IP)、蛋白質酸化で生じる3-ニトロチロシン(3-NT)を分析対象として、ネガティブ/ポジティブモードに切り替え連続一斉LC-MS/MS分析により同時分析が可能であり、同位体希釈法により尿、毛髪及び唾液試料中酸化ストレスマルチマーカーを簡便かつ高感度に定量できた。 2. コルチゾール、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン及びメラトニンなどのストレス関連ホルモン類を分析対象として、インチューブSPME/ESI-ポジティブモードLC-MS/MS法により高感度一斉分析法を開発し、実験的ストレス負荷による各バイオマーカーレベルの変動と自律神経バランスとの相関性を解析した。 3. 酸化ストレスと関連して老化や糖尿病など様々な疾患との関連が示唆されている糖化ストレスのバイオマーカーであるカルボキシメチルリシン、ペントシジン、ピラリンなどをインチューブSPME/ESI-ポジティブモードLC-MS/MS法により一斉分析する高感度分析法を開発し、尿試料分析に応用した。 本研究は、非侵襲的で簡便かつ高感度選択的な分析法により酸化ストレス及び関連ストレスの状況を把握できることから、DNAや脂質、蛋白質の酸化損傷による各種疾患の解析、ストレス関連の疾患発症の生化学的メカニズムの解析などへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間2年目に、研究代表者が学長に就任し、その他の業務が多忙となったこと、LC-MS/MS装置の不具合で修理や部品調達に時間がかかり、また、共同機器のため利用者が増え、自由に使える時間が減ったことなどにより、当初の目的を達成することができず大幅に遅延したため、今年度が最終年度であったが補助事業を1年間期間延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間期間延長により、酸化ストレス及び関連して生じる糖化ストレスの分析法を含め、開発したインチューブSPME/LC-MS/MS法を用いて、老化/疲労・ストレス、糖尿病などの疾病との関連性を明らかにするために、血糖値やその他の生理学的・生化学的指標との相関性を解析して、その有効性を検証する。また、最終年度に当たり、研究成果をとりまとめ、学会発表や学術論文に公表する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の当初計画が「現在までの達成度」に記載した理由により大幅に遅れ、1年間期間延長したため、その分に使用する予定の予算が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
バイオマーカー標準試薬及び安定同位体標識化合物の購入、生体試料サンプリング及び前処理に必要な器具類の購入、試料提供者や研究補助者への謝礼等に使用する予定である。また、論文の英文校正、投稿料などにも充てる予定である。
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Research Products
(10 results)