2015 Fiscal Year Research-status Report
シクロデキストリン包接を利用した結晶多形転移ならびに結晶モルホロジーの制御
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26460054
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
平山 文俊 崇城大学, 薬学部, 教授 (90094036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庵原 大輔 崇城大学, 薬学部, 助教 (40454954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / 結晶化 / 結晶多形 / モルホロジー / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
環状オリゴ糖であるシクロデキストリンは分子内に疎水性空洞を有するため、様々な医薬品を空洞内に取り込み、包接化合物を形成することが知られている。製剤学分野では、シクロデキストリンの包接機能を利用した各種製剤特性(溶解性、安定性、苦みの軽減、油性薬物の固形化など)の改善が活発に行われている。しかしながら、シクロデキストリン包接を利用した薬物の結晶化、多形転移挙動、結晶モルホロジーの制御の詳細はほとんど解明されていない。我々は、アセチルサリチル酸(アスピリン)水溶液に疎水性残基を有するシクロデキストリン誘導体(2-ヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリン、ジメチル-b-シクロデキストリン)を添加すると、アスピリンの結晶は板状結晶から針状結晶へ変化することを報告した(Crystal Growth & Design, 12, 1985-1991 (2012))。 最近、ゲル相中での薬物の結晶化が注目を集めている。溶液状態と異なり、ゲル相中では薬物の拡散速度が著しく制御されているため、異なる結晶多形や晶癖(モルホロジー)を有する結晶が生成することが報告されている。そこで、本研究では、ポリアクリル酸にb-シクロデキストリン(b-CyD)を化学結合した b-CyD/ポリアクリル酸誘導体を合成し、薬物結晶化への影響を検討することを目的とした。本年度は、エチレンジアミンをスペサーとしたグルクロニル-グルコシル-b-CyD とポリアクリル酸を化学結合した b-CyD 含有高分子を調製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は b-CyD 含有ポリアクリル酸高分子を調製し、その包接機能を調べた。具体的には、b-CyD の1級水酸基末端にカルボン酸基を有するグルクロニル-グルコシル-b-CyD (GUG-b-CyD) に縮合剤 (WSC) を用いてエチレンジアミンを結合させ、一方のアミノ基にポリアクリル酸 (MW 5,000, 25,000) をアミド結合させた。ポリアクリル酸とエチレンジアミン化 GUG-b-CyD のモル比を変化させて様々な置換度の b-CyD 含有ポリアクリル酸高分子を調製した。b-CyD 含有ポリアクリル酸高分子中の GUG-b-CyD の置換度は NMR およびマススペクトル、アンスロン/硫酸法により算出した。GUG-b-CyD の置換度が 2% および 5% の b-CyD 含有ポリアクリル酸高分子を用いて、各種薬物(ビフェニル酢酸、プレドニゾロン、ジクロフェナック、アセトヘキサミドなど)に対する包接機能を溶解度法により検討した結果、ビフェニル酢酸などの比較的細長い分子構造を有する薬物に対して高い包接能を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は以下の通りである。高分子量のポリアクリル酸(MW 50,000および100,000、既に合成済)に GUG-b-CyD を導入した高分子を調製し、これらの包接機能を明らかにする。さらに、これらの b-CyD 含有ポリアクリル酸高分子の溶液あるいはゲル中に各種薬物を添加し、結晶化速度、多形転移挙動、形態変化を観察するとともに、その機構について考察する。
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Research Products
(2 results)