2014 Fiscal Year Research-status Report
オリゴデンドロサイトにおけるホスファチジルイノシトール-3,5-二リン酸の役割
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26460059
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高須賀 俊輔 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90375262)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
イノシトールリン脂質は3つの水酸基のリン酸化状態の違いにより全8種類が存在し、リン酸化・脱リン酸化酵素により相互に変換されることで、多様な生理機能を制御している。中でも最も遅れて発見されたホスファチジルイノシトール3,5-二リン酸(PI(3,5)P2)は、酵母から哺乳動物に共通して細胞内小胞輸送の制御に関与している。 これまでに研究代表者は、PI(3,5)P2の唯一の生成酵素であるホスファチジルイノシトール3リン酸5ーキナーゼ(PIPKIII)の遺伝子欠損マウスを作製・解析することで、個体発生における必須の役割と腸上皮細胞における生理的な重要性を明らかにし、報告してきた。 本研究課題においては、中枢神経系前駆細胞特異的なPIPKIII遺伝子欠損マウスを作出することで初めて明らかになった「髄鞘(ミエリン)形成におけるPI(3,5)P2の重要性」について解析を進めてきた。その結果、オリゴデンドロサイトにおけるPI(3,5)P2こそが髄鞘形成に必須であることをマウス個体のレベルで明らかにした。平成26年度にはオリゴデンドロサイトの初代培養細胞系における解析についての条件検討を行った。本実験系を用いて、平成27年度以降に、PI(3,5)P2の重要性について明らかにする計画である。 さらにPI(3,5)P2脱リン酸化酵素遺伝子欠損マウスの作製・戻し交配を進め、申請時の計画通りに5系統の flox マウスと、1系統の活性消失変異体ノックインマウスを得ることが出来た。次年度以降に、これらのマウスを用いて、いずれの脱リン酸化酵素が髄鞘形成に関与しているのかを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画では、(1)初代培養細胞系を用いた髄鞘形成機構の解析と(2)PI(3,5)P2脱リン酸化酵素遺伝子欠損マウスの作製及び戻し交配を予定していた。このうち(1)については、条件検討を進めている段階であり、計画の一部が次年度に持ち越されることになった。一方、(2)については、計画していた6分子の遺伝子欠損マウスの作製及び戻し交配を終了し、中枢神経系における髄鞘形成への影響を検討するための交配を開始することができた。これらの状況から、現在までの達成度は「概ね順調に進展している」ものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず平成26年度に中途となっていた「初代培養細胞系を用いた髄鞘形成機構の解析」を速やかに行う。続いて、「PI(3,5)P2脱リン酸化酵素遺伝子欠損マウスを用いた髄鞘形成の解析」を行う。脳の組織学的解析においては、クリューバー・バレラ染色による光学顕微鏡レベルでの解析に加え、脳梁部の電子顕微鏡像を用いた詳細な解析を行う。
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Research Products
(3 results)