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2015 Fiscal Year Research-status Report

前がん病変で発現上昇するクロマチン関連因子による細胞死制御

Research Project

Project/Area Number 26460072
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

長田 茂宏  名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40263305)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsヒストン / ヒストンメチル化 / ヒストンアセチル化 / ヒストンバリアント / がん
Outline of Annual Research Achievements

前がん病変は正常細胞からがん化した細胞への変換時期であり、がん化促進因子、防御因子の両方に大きな変化が生じている。これまでに肝前がん病変において発現上昇するクロマチン機能制御に関わる因子を複数単離しており、これらの因子の細胞死制御における役割を明らかにする。H27年度は、ヒストンメチル化酵素CARM1スプライシングバリアントの発現、局在、ヒストンバリアントH2a.zがオートファジーに与える影響、ヒストン脱アセチル化酵素Hdac9が足場非依存的増殖、DNA損傷誘発薬剤感受性に与える影響を検討した。
CARM1ががん化過程において、核のみではなく、細胞質において発現が上昇すること、肝がん細胞の増殖促進に関わることを明らかにしている。CARM1スプライシングバリアントが複数単離されており、そのうちのひとつエキソン15を欠いたCARM1-v4の局在および発現を検討した。各種培養細胞において、CARM1-v1と CARM1-v4で局在に違いが観察されなかった。CARM1-v1とCARM1-v4ともに前がん病変において発現上昇しており、また、各種培養細胞においてこれらの発現の割合は異なることが明らかとなった。
ヒストンバリアントH2a.zがラパマイシン誘導オートファジー誘導過程で発現減少していることを明らかにしている。オートファジーの指標のひとつであるGFP-LC3のドット形成はH2a.z過剰発現により影響を受けなかった。しかし、H2a.z発現抑制はLC3発現に影響を与える可能性が示された。
がん細胞の足場非依存的増殖能をHDAC9は促進すること、および神経細胞死制御に関わる因子がHDAC9と相互作用することを明らかにしている。この因子がHDAC9の足場非依存的増殖能の促進活性を抑制する可能性が示された。しかし、エトポシド処理により誘発された細胞死には影響を与えなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ヒストンメチル化酵素CARM1の局在変化に与える影響については解明できておらず、現在も解析を進めている。一過的な発現による局在変化の検討は困難であるため、安定発現株を作製することにより検討する。また、細胞株によりスプライシングバリアントの発現量が異なることが明らかとなったことから、スプライシングバリアントの解析をあわせて行うことにより、CARM1の新たな機能解明につながると考えられる。
H2a.zはオートファジーマーカーGFP-LC3ドット形成に影響を与えなかったが、LC3発現抑制に関与する可能性が示された。H2a.zがLC3のプロモーター活性を抑制する可能性を示唆する結果も得られていることから、H2a.zを介したオートファジー制御について新たな知見が得られると考えられる。ラパマイシン以外によるオートファジー誘導時におけるH2a.z発現変化、細胞死誘導も検討しており、これらの解析結果と合わせることにより、H2a.zを介した細胞死制御機構に関する知見が得られる。
がん細胞の足場非依存的増殖能をHDAC9が促進する活性をHDAC9相互作用因子が抑制したことから、HDAC9の機能の制御機構に関する知見が得られた。足場非依存的増殖能の促進は細胞死抑制に関わることから、HDAC9を介した細胞死制御機構の解明につながると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

ヒストンメチル化酵素CARM1の局在について、安定発現株を作製して検討する。また、DNA損傷薬剤添加時における局在変化について、スプライシングバリアントも併せて解析することにより、がん化過程におけるCARM1局在変化、細胞質におけるCARM1の役割を解明する。また、CARM1過剰発現がDNA損傷薬剤感受性に影響を与えた際は、酵素活性変異体の安定発現株を作製することにより、感受性にメチル化酵素活性が必要であるかについても検討する。
H2a.zがGFP-LC3のドット形成に与える影響については、安定発現株におけるGFP-LC3の発現が高かったことが検出を困難にした可能性が考えられるため、この解析については、安定発現株を再構築し、検討する。H2a.zがLC3発現に与える影響については、LC3発現制御領域におけるH2a.z結合を検討することにより、その分子機構の解明を試みる。
HDAC9は、DNA損傷薬剤エトポシドによる細胞死に影響を与えなかった。今回は充分に細胞死が誘導されるエトポシドの濃度・時間で解析を行ったため、HDAC9の影響が検出されなかった可能性が考えられる。今後は細胞死誘導条件を変更し解析する。また、HDAC9の複数のスプライシングバリアントを同定していることから、それらの因子についても併せて検討する。

Causes of Carryover

研究費の多くを研究消耗品として、申請・利用している。今年度はほぼ計画通りに利用した。昨年度実験条件の最適化の過程において、比較的安価にかつ効率的に検出できる系を設定することができたことから、その分が次年度使用額として生じた。今後も効率的に実験を遂行し、目的の達成を目指す。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究進展につれて、安定発現株の作製およびその解析が必要となった。解析目的に沿った発現量の安定発現株をもちいた解析を進めていくことで、クロマチン関連因子が細胞死制御に与える影響を解明する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ヒストン脱アセチル化酵素HDAC9とハンチントン病関連因子の相互作用2016

    • Author(s)
      長田茂宏, 新美有希, 山口桃子, 中村真也, 今川正良
    • Organizer
      第136年会 日本薬学会
    • Place of Presentation
      横浜
    • Year and Date
      2016-03-26 – 2016-03-29
  • [Presentation] オートファジー誘導過程におけるエピジェネティクス関連因子の発現2015

    • Author(s)
      長田茂宏, 芝田裕一, 加藤苑果, 今川正良
    • Organizer
      第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会合同大会
    • Place of Presentation
      神戸
    • Year and Date
      2015-12-01 – 2015-12-04

URL: 

Published: 2017-01-06  

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