2014 Fiscal Year Research-status Report
シトクロムc-LRG複合体の構造とその生理機能の解明
Project/Area Number |
26460082
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
井上 晴嗣 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70183184)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体分子 / 蛋白質 / 生理活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(A)Cyt cとLRGの相互作用解析とその複合体の構造解析------日本血液製剤機構から提供を受けたヒト献血血液画分について、ELISAおよびウェスタンブロットにより調べた結果、Eff.1画分にLRGが多く含まれていることがわかった。日本血液製剤機構からEff.1画分を1L提供していただき、Cyt cを固定化したアフィニティーカラムを用いてヒトLRGを精製しつつある。また、ほ乳類細胞による組換えLRGの大量発現についても検討中である。 (B)種々の細胞に対するCyt c-LRG複合体の作用------骨髄マクロファージ、腹腔マクロファージ、HUVEC細胞、HepG2細胞などについて、Cyt c-LRG複合体を添加し、G-CSFまたはLRGの産生が促進されるかどうか検討した。腹腔マクロファージ、HUVEC細胞、HepG2細胞については、G-CSFもLRGも産生促進作用が見られなかった。また骨髄マクロファージではLRG単独またはCyt c-LRG複合体の添加により、G-CSFの産生促進が見られたが、実験の再現性が悪いので、引き続き検討中である。 (C)種々の疾患モデルマウスにおけるCyt c-LRG複合体の検出------四塩化炭素を腹腔内投与して劇症肝炎を起こしたマウスと、50%グリセロールを大腿筋に注射して横紋筋融解症を起こしたマウスについて、投与24h後の血清を採取し、ウェスタンブロットで調べたところ、これらの疾患により放出されたCyt cがLRGと複合体を形成していることが確かめられた。このことは、種々の疾患においてCyt c-LRG複合体の検出が、疾患マーカーとして利用できる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨髄マクロファージに対してCyt c-LRG複合体の添加による遺伝子発現の変化を、マイクロアレイによる解析を行う予定であったが、骨髄マクロファージの反応性に再現性がないため、実施していない。同様に、TLRリガンドスクリーニングサービスもまだ実施していない。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)では、ヒトLRGのEff.1画分からの精製を進める一方、浮遊型HEK293細胞を用いた組換えLRGの大量発現も検討する。 (B)では、骨髄マクロファージでG-CSF発現が最大となる条件を探すとともに、クッパー細胞などについてもCyt c-LRG複合体の効果を調べたい。効果の現れた細胞については、マイクロアレイによる発現解析を行う予定である。 (C)では、ヒトの疾患でも実際にCyt c-LRG複合体が検出されるかどうか、患者の血液を入手可能な病院との共同研究を提案していきたい。
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