2015 Fiscal Year Research-status Report
銅輸送体細胞内発現・局在制御によるメラニン合成調節機構の解明
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26460086
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
藤田 英明 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (80291524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | チロシナーゼ / 銅輸送体 / 銅シャペロン / メラノソーム / リソソーム / ユビキチン / ユビキチンリガーゼ / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
チロシナーゼ分解促進を引き起こす新規美白剤イヌラボシンの標的分子を同定する目的で、チロシナーゼ結合タンパク質の同定を試みた。プロテオミクスにより同定したチロシナーゼ特異的銅シャペロン候補分子の機能解析を行っている。免疫沈降による解析手法に問題があり(再現性・IgGの混入など)、現在はチロシナーゼHalo-tagキメラタンパク質を用いた相互作用解析に着手している。チロシナーゼHalo-tagキメラタンパク質の細胞内局在は野生型と同様であり、またHalo-link Resinでの回収も上手くいっている。これにより、少なくともIgG混入の問題は回避されたので、現在チロシナーゼ特異的銅シャペロン候補分子との相互作用を詳細に検討している。 チロシナーゼ特異的ユビキチンリガーゼの候補分子としてRNF152、MARCH3について解析を行ったが、現在のところ相互作用は認められていない。引き続き他の候補分子の解析に着手している。その過程で膜結合型ユビキチンリガーゼMARCH8がウイルス産生抑制に働く宿主因子であることを共同研究により見出し、Nature Medicine誌に報告することができた。 銅輸送体CTR1の銅濃度依存的な分解・ユビキチン化については安定発現細胞株の作成が上手くいかないために遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロテオミクスによる標的分子同定は順調に進んだが、その詳細な解析に用いた免疫沈降法に問題があり(再現性・IgGの混入など)、現在はチロシナーゼHalo-tagキメラタンパク質を用いた相互作用解析に着手し、成功している。 チロシナーゼ特異的ユビキチンリガーゼの同定はin vitro(小麦胚芽無細胞タンパク質合成系)での結果が、生細胞内での結果と一致しないためかもしれない。 銅輸送体CTR1の銅濃度依存的な分解・ユビキチン化については安定発現細胞株の作成が上手くいかないために大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
チロシナーゼ特異的銅シャペロンについては、機能解析を終えた時点で論文作成・投稿に移る予定であるが、より生理的意義を調べるためにはノックアウトマウス作成も視野に入れて研究を行う。 チロシナーゼHalo-tagキメラタンパク質の系を用いて、さらに新規結合タンパク質・ユビキチンリガーゼの同定にも着手したい。 銅輸送体CTR1安定発現細胞株作成には共同研究者の協力を仰ぐ予定である。 解析に用いている膜結合型ユビキチンリガーゼの新規機能について知見が蓄積してきているので、本研究を発展的に拡大してユビキチン化によるタンパク質のリソソーム分解の生理的意義について明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
チロシナーゼ-Halo-tagキメラ作成に注力したため、CRISPAR-Casなどのノックアウト試薬の購入を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CRISPAR-Casシステムの購入と論文作成費用として使用する予定である。
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