2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460088
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久野 悠 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 基礎科学特別研究員 (60467636)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 人工ヌクレアーゼ / TALEN / CRISPR/Cas9 system / ゼブラフィッシュ / ノックイン / 逆遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでマウスがモデル生物としての地位を確立してきた背景には胚性幹(ES)細胞を用いたゲノム編集技術がある。マウスでは生殖細胞へと分化可能なES細胞が樹立されているため、相同組換えによりゲノムを編集した個体を作製できる。これにより標的遺伝子を破壊した際の表現型を解析する逆遺伝学的解析が可能となり、多くの遺伝子の生理機能が解明されてきた。一方で世代時間や飼育コスト、ゲノムサイズ、観察の容易さなどから研究目的に適した様々なモデル生物が利用されているが、マウス以外のモデル生物ではES細胞が樹立されておらず逆遺伝学的解析が困難であった。このような状況下で近年、ゲノムの標的部位にDNA二本鎖切断を引き起こす人工ヌクレアーゼが開発され大きく注目されている。 人工ヌクレアーゼによってDNA二本鎖切断が引き起こされると、細胞が持つ二種類の修復機構が働く。1つは非相同末端結合修復と呼ばれるもので、切断末端が直接繋がれる。この際に高頻度で数塩基の挿入及び欠損変異が生じるため、フレームシフトを誘導し標的遺伝子が破壊される。もう1つは相同組換え修復で、切断部位と相同配列を持つ鋳型を利用して修復するため外来遺伝子を挿入・置換することが可能である。 CRISPR/Cas9システムではgRNAが標的配列の認識に関わり、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成することによりDNA二本鎖切断を引き起こす。そこでgRNAの認識配列とゲノム標的部位との相同配列を持つドナーベクターを作成し、gRNA,Cas9 mRNAと同時にインジェクションしたこところ、標的遺伝子であるkrtt1c19e遺伝子へ蛍光タンパク質を付加することに成功した。さらにこの外来遺伝子の挿入が生殖細胞にも生じており、次世代に引き継がれることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二年目以降に予定していた外来遺伝子の挿入法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに確立した遺伝子挿入法がその他のゲノム部位においても有効であるのか調べていく。またゼブラフィッシュ以外のモデル生物、細胞において汎用性があるのか検討を行う。 [連携研究者] 理化学研究所脳科学総合研究センター発生遺伝子制御研究チーム 小林琢磨 80582288 Ca2+インジケータのトランスジェニック系統の作成・解析
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Causes of Carryover |
次年度使用額は2円であり、ほぼ予定通り使用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は2円であり、当初の計画通り使用する。
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