2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性蕁麻疹病態における好塩基球と血液凝固反応の役割解明
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26460097
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳瀬 雄輝 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (40452586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性蕁麻疹 / 血液凝固 / 血管内皮細胞 / 単球 / 肥満細胞 / Tissue Factor (TF) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、慢性蕁麻疹病態における好塩基球と血液凝固系の関わりを明らかにするため、血管内での好塩基球の活性化から蕁麻疹の発症までを「A. 好塩基球活性化による単球・血管内皮細胞のTF発現と血液凝固系の駆動」「B. TFまたは産生された活性化凝固因子の血管外への漏出」と「C.血管外に漏出した活性化凝固因子によるマスト細胞等の免疫担当細胞の活性化」の3つの段階に分け、下記の手法によりそれぞれの過程を明らかにすることで、好塩基球活性化を引き金とする新しい慢性蕁麻疹発症モデルを確立することを目的とする。26年度は、当初の計画通り、好塩基球活性化による単球・血管内皮細胞のTF発現と血液凝固系の駆動について検討した。その結果、ヒスタミンとLPSが相乗的に血管内皮細胞(Huvec)のTF発現を増強していることが明らかとなった(mRNA、膜発発現レベルで確認)。さらに、ヒト正常皮膚微小血管内皮細胞においても同様の結果を得た。また、阻害薬を使用した実験から、上記反応は、ヒスタミン1受容体(H1受容体)とTLR4受容体を介して引き起こされ、それぞれの受容体の下流における重要な細胞内シグナル伝達分子、NF-kBとPKCの働きが重要であることを明らかにした。また、ヒト末梢血由来好塩基球と血管内皮細胞を共培養し、好塩基球を活性化させると、血管内皮細胞からのTF発現が認められ、その発現はH1受容体拮抗薬によって抑制されることを明らかにした。また、上記刺激により血管内皮細胞上に発現したTFは、外因系血液凝固反応を駆動し活性化Ⅶ因子、活性化Ⅹ因子、活性化トロンビンを生成することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度以降は、計画通り、TF発現細胞・活性化凝固因子の血管外への漏出、血管外に漏出した活性化凝固因子によるマスト細胞等の免疫担当細胞の活性化について検討する。 TF発現細胞・活性化凝固因子の血管外への漏出については、好塩基球により活性化され、TFを発現した単球は血管外に移行するか、また、好塩基球から放出されたヒスタミン等によって、血管透過性が上昇し、血管内で産生された活性化血液凝固因子が血管外に漏出するかどうか検討する。 血管外に漏出した活性化凝固因子によるマスト細胞等の免疫担当細胞の活性化については、TF発現によって産生された活性化凝固因子が、マスト細胞上のPARに結合し、マスト細胞を活性することは十分に考えられる。そのため、本研究では、ヒト皮膚由来マスト細胞における各種PAR受容体(PAR1-4)の発現を確認するため、mRNA発現量、タンパク発現量、膜発現量をそれぞれPT-PCR法・ウェスタンブロット法、フローサイトメトリー法により確認する。ヒト皮膚由来マスト細胞におけるPARの発現が確認された後、活性化凝固因子FIIa、FXa、FIIaをマスト細胞活性化候補物質とし、皮膚切片及び、ヒト皮膚から単離したマスト細胞(human primary mast cell; HPMC)を使用して、これらの物質のHPMCに対する活性化、並びその至適条件を検討する。また、それぞれの活性化凝固因子が、どのPAR(1-4)に作用してマスト細胞を活性化するのか明らかにする。さらにそれぞれの凝固因子で刺激した際のヒスタミン遊離以外の機能(細胞遊走、炎症性サイトカイン産生等)についても確認する。
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