2015 Fiscal Year Research-status Report
新規脳保護薬のメカニズムと脳梗塞治療薬としての可能性の検討
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26460106
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石毛 久美子 日本大学, 薬学部, 教授 (40212873)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳保護薬 / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もローズベンガルを用いた脳梗塞モデルマウス、MPTP誘発パーキンソン病モデルマウスおよびマウス海馬神経由来のHT22細胞において検討を進めたが、特に、ローズベンガルモデルにおいて詳細な検討を実施した。ローズベンガルモデルにおいては、前年度、モデル作製条件をほぼ確定したが、今年度は、まず、ローズベンガルの用量依存性を詳細に検討し、ローズベンガルの用量依存的に梗塞体積が大きくなることを明らかとした。また、モデル作製24時間後の行動薬理学検討から、高用量(80mg/kg)投与時には、運動障害を来していることが明らかとなった。一方、低用量(20および40mg/kg)投与の場合にも明らかな梗塞巣が出現し、20mg/kgよりも40mg/kgのほうが大きいことも確認されたが、80mg/kgのような行動障害は観察されなかった。ラジカルスカベンジャーであるエダラボンが、ローズベンガルモデルにおいても保護効果(梗塞巣の縮小)を持つことがすでに報告されているので、ポジティブコントロールになると考え、GR103691誘導体の検討に先だってエダラボンの影響を調べた。エダラボンの単回投与は、研究代表者のモデルにおいても低用量のローズベンガルによる梗塞体積を縮小させる傾向を示したが、高用量の障害には影響を及ぼさなかった。現在は、エダラボンの投与方法(用量および回数等)について検討中である。前年度、MPTPモデルにおいて、GR 103691は、脳梗塞以外の障害に対しても保護作用を持つことを明らかとしたが、今年度の検討により、その保護効果は、統計的には有意であるものの比較的弱い作用であることが明らかとなった。HT22細胞においては、脳梗塞のin vitroモデルである低酸素後再酸素化誘発細胞死におけるNrf2経路の関与に関して検討を加えているが有意な結果を得るには至っていない
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画からは全体的にやや遅れていると判断するが、大きな障害がある訳ではない。前年度の検討において、脳梗塞のin vivoモデルであるローズベンガルモデルでの検討に遅れが生じたため、今年度は、ローズベンガルモデルでの検討を優先して実施した。その結果、昨年度開始時に経過報告書に記した内容の中で、行動薬理学的検討の一部を除いて実施できている。また、細胞モデルにおける検討では、結論を導くに至っていないが、これは、今後、例数を積み重ねることで解決すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進行はやや遅れ気味であるが、最終年度でもあり、可能な限り、当初、計画した内容に関して終了させ、結論を導きたいと考えている。その上で、結果公表(論文投稿及び学会報告)まで遂行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
現在までに論文投稿に至っていないため、投稿に関する費用をしていないこと、及び学会開催地が所属機関より近く、交通費が不要であったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であり、論文発表のための諸経費(英文校正料、投稿料)として使用する。また、今年度の学会はいずれも遠方での開催のため、その交通費に使用する。さらに一部を実験用消耗品費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)