2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症が引き起こす糖尿病性血管内皮由来因子シグナル破綻と性差の分子基盤
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26460107
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
松本 貴之 星薬科大学, 薬学部, 講師 (30366835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病性血管機能障害 / 頸動脈収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病を含む生活習慣病においては、血管機能障害 (内皮機能障害や平滑筋機能障害)がこれら疾病の合併症発症、進展に重要な役割を果たしている。また一方で、生活習慣病病態形成に慢性炎症が関与していることが近年注目されている。そこで、まず、慢性炎症が既に起こっていると考えられる2型糖尿病長期罹患モデルであるGoto-Kakizaki (GK)ラット摘出頸動脈を用いて、未だ病態下において収縮異常機序が明らかではないセロトニン(5-HT)による収縮反応に関して我々は以前GKラットにおいて増強することを明らかとしたが、更なる分子メカニズムの検討を行った。対照群と比較してGK群にて頸動脈における5-HT収縮増大が観察され、内皮除去標本においても依然として、GK群における収縮反応が増大していることから、5-HT収縮増大には内皮よりも平滑筋シグナルの異常が大きく関与していることを明かとした。更に、薬理学的検討から、頸動脈におけるセロトニントランスポーターがこの異常に一部関与している可能性や、p38MAPK, PI3K, Rho kinaseといったキナーゼもこの異常に関与することを明らかとした。 エピガロカテキンガレート(EGCG)は、主に緑茶に含まれる成分であり、抗炎症作用など多彩な有益効果が報告されているが、2型糖尿病を長期罹患した状態におけるEGCG慢性投与が頸動脈における血管反応に有効かどうかは明らかではないため検討を行った。2型糖尿病ラット(OLETF)摘出頸動脈において、エンドセリン-1(ET-1)収縮がEGCG慢性投与によって抑制されることを明らかとした。この効果は、内皮除去で消失すること、さらにアセチルコリン誘発内皮依存性弛緩反応がEGCGで増強することから、EGCGのET-1収縮抑制には、内皮機能の改善が関与していることを明らかとした。 本研究によって、持続的な慢性炎症モデルにおける血管反応異常のメカニズムの一部が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本プロジェクトは、慢性炎症が引き起こす血管機能障害特に内皮機能障害、平滑筋機能障害の分子メカニズムの解明及び性差について研究であるが、長期慢性炎症モデルの形成に時間がかかっていることと、雄モデルの研究が先行していて、雌モデルの研究が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、雌の病態モデルを用いて、血管機能を測定し、更に性ホルモンと炎症惹起因子の血管機能に対する影響を詳細に検討していくことで本研究課題の推進を目指す。
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Causes of Carryover |
研究遂行のための消耗品が差額より高額であったために、次年度に持ち越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き研究を遂行するために、実験動物、薬理学/生理学的試薬、抗体、ELISAキットなど消耗品に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(18 results)