2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満症による末梢慢性炎症の脳内伝播過程において「鍵」となる脳ペリサイトの病変化
Project/Area Number |
26460113
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高田 芙友子 福岡大学, 薬学部, 助教 (70412575)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60399186)
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 脳ペリサイト / 肥満 / 脳内炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肥満糖尿病病態における脳内炎症形成過程におけるペリサイトPDGFRbの役割を明らかにしようとするものである。 肥満糖尿病モデル動物におけるミクログリアの変化;高脂肪食を8週間負荷した、肥満糖尿病モデルマウスを作製し脳内炎症を評価した。本肥満糖尿病モデルでは、体重、脂肪重量の上昇および空腹時血糖値の上昇が認められた。脳内炎症はミクログリアの活性化を指標に行った。ミクログリアの活性化はIba1抗体を用いた免疫染色法により評価した。8週間の負荷では、海馬および視床下部領域におけるIba1陽性細胞数およびその陽性面積に変化が認められなかったことから、ミクログリアの活性化が起きていないことが明らかになった。一方で、脳内のPDGFRb発現は有意に上昇し、脳微小血管では上昇傾向を示した。PDGFRbはペリサイトマーカーであることから、高脂肪色食負荷により脳ペリサイトが活性化している可能性が示唆された。8週間負荷では、ミクログリアの活性化は認められないが、脳ペリサイトの活性化は認められたことから脳内炎症形成に先行してペリサイトが活性化される可能性がある。PDGFRb活性化による脳ペリサイトの動態変化;PDGFRbのアゴニストであるPDGF-BBを脳ペリサイトに負荷したところその遊走が有意に促進された。その遊走促進作用はPDGFRb阻害作用を有するイマチイブおよびAG1296で抑制された。また、PDGF-BB によるペリサイト遊走はPDGFRbおよびPKCの活性化を介していた。つまり脳ペリサイトのPDGFRbの活性化は、脳ペリサイト動態変化をもたらすことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満糖尿病モデル動物の作製に成功し、脳内のPDGFRb発現量の変化を捉えることができた。一方で、ミクログリアの活性化を捉えることができなかったため、今後高脂肪食の負荷期間を延長し、ミクログリアおよびペリサイトの活性化についての経時的変化を検討する必要がある。またミクログリアマーカーであるIbaの変化だけでなく、アストロサイトマーカーであるGFAPの変化も合わせて、脳内炎症の程度を評価する。 糖尿病患者では血液中のLPS濃度が上昇することから、高脂肪食負荷動物で脳内炎症を評価することが難しい場合は、腹腔内にLPSを投与した肥満糖尿病に類似した末梢炎症を呈するモデルを実験に用いる。腹腔内LPS投与モデルでは、既に海馬におけるミクログリアの活性化および血液中のサイトカイン・ケモカイン濃度の変化は検討済みである。 よって、本研究はおおむね順調に進行していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食負荷期間を延長し、ミクログリアおよびアストロサイトの活性化を指標として、脳内炎症を評価する。脳内炎症が形成された時点で、血清および脳内のサイトカインおよびケモカインを測定し、肥満増悪因子と脳内炎症進展との関連を明らかにする。また、肥満増悪因子による脳ペリサイトの機能および動態変化を検討する。
|
Research Products
(8 results)