2016 Fiscal Year Research-status Report
肥満症による末梢慢性炎症の脳内伝播過程において「鍵」となる脳ペリサイトの病変化
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26460113
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高田 芙友子 福岡大学, 薬学部, 助教 (70412575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60399186)
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペリサイト / PDGFRb |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肥満糖尿病病態における脳内炎症形成過程におけるペリサイトPDGFRbの役割を解明しようとするものである。 ●炎症病態下におけるペリサイトのPDGF-B/PDGFRbの活性化 炎症刺激下では、脳ペリサイトにおけるPDGFRおよびそのアゴニストであるPDGF-BBの発現量が増加していた。このことから、炎症病態下ではPDGF-BBの産生の誘導およびPDGFRb受容体発現量の増加により脳ペリサイトが病変化することで脳内炎症が形成される可能性がある。 ●PDGFRb活性化ペリサイトによる炎症誘発因子の産生 脳ペリサイトにPDGFRbのアゴニストであるPDGF-BBを負荷し、そのペリサイトから抽出されたmRNAを用いて、マイクロアレイを行った。コントロール群と比較し10倍以上増加しているmRNAの一つに炎症をつかさどるマクロファージの活性化を誘導するthrombospondin 4があった。このことから、肥満病態下(末梢慢性炎症下)で活性化したペリサイトはthrombospondin 4の産生を介して脳内の炎症を誘導する可能性がある。今後ペリサイト由来thrombospondin 4がグリア細胞の活性化にどのように関わるか検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、炎症刺激下でペリサイトPDGFRbシグナル系が活性化していることを明らかに出来た。また、これまで困難を極めていたペリサイトへのsiRNA導入に成功し、ペリサイトでのPDGFRbのノックダウンを可能にした。 これら実験系は、PDGFRb活性化ペリサイトによる、脳内炎症をつかさどるグリア細胞の制御機構を解明するのに有用である。 以上のことから、本年度はおおむね順調に進行したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、炎症刺激下でのペリサイトPDGFRbの活性化を明らかにした。今後は、炎症誘発因子として知られるthrombospondin 4に着目し、炎症病態下で産生されるペリサイト由来因子のグリア細胞に対する作用を解明し、脳内炎症形成機構におけるペリサイトの役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度11月~平成28年11月まで、所属機関の命により、フランス リヨン大学に海外研修員として赴任していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
脳内炎症を誘導するペリサイト由来因子の特定のために必要となる試薬および動物を購入する。また、得られた研究成果を国際学会で発表するために、その参加費および旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)