2015 Fiscal Year Research-status Report
サポニン生合成遺伝子の解析によるPanax属植物における成分的多様性の成因の解明
Project/Area Number |
26460119
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
朱 シュウ 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (20377360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Panax属植物 / トランスクリプトーム解析 / トリテルペンサポニン / 生合成 / 成分的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Panax属植物の根及び根茎に由来する人参類生薬(薬用人参、三七人参、竹節人参など)は、多様な化学構造と生物活性を有するトリテルペンサポニンが含有されており、各種が各々特徴的な成分組成を有している。本研究はPanax属植物における成分的多様性の成因を探索し、サポニン生合成に関与する酵素遺伝子のクローニング及び機能解析を行うことを目的とする。対照的なサポニン成分組成を有しているPanax属植物3種の根茎及び根より抽出したmRNAを用いて、次世代シーケンサーによるRNA-Seq解析を行い、それぞれ約10 Gbasesの塩基配列データを取得した。それらについてde novoアセンブル解析を行い、各種に10万以上のContig配列を得た。得られたContig配列は最長が約15Kbで、N50は1400 bp以上であった。Contig配列について、機能アノテーション、Gene Ontology (GO) 解析、発現量(FPKM)解析を行った。サポニン成分の生合成関連酵素遺伝子[squalene epoxidase (SE)、oxidosqualene 環化酵素(OSC)、水酸化酵素、配糖化酵素など)の候補配列を多数得た。Panax属植物における成分的多様性の形成の第一要因と考えられるアグリコン骨格生成酵素であるOxidosqualene環化酵素 (OSC)の遺伝子を中心に関連遺伝子の全長配列の解析を進んでいる。野三七に多く含まれるOcotillol型dammarane系サポニンの母核の生合成に関わるOSC遺伝子を同定するため、野三七由来のContig配列から得られたOSC遺伝子候補配列を基に、RACE法によって全長配列を得た。また、3種のサポニン成分プロファイルを詳細に比較するためのLC-MS分析条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対照的なサポニン成分組成を有しているPanax属植物3種の根茎及び根について、次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析を行い、3種にそれぞれ10万以上のContig配列を得た。相当性検索に基づくContig配列のアノテーション解析によりサポニン成分の生合成関連酵素遺伝子の候補配列が多数得られた。Panax属植物における成分的多様性形成の第一要因と考えられるアグリコン骨格生成酵素であるOxidosqualene環化酵素(OSC)の遺伝子を中心に関連遺伝子の全長配列の解析を進んでいるが、遺伝子の機能解析は予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
野三七にはocotillol型dammarane系サポニンが約5%の高含量を示している。一方、他の2種にはocotillol型サポニンがほとんど含有されていない。野三七において、ocotillol型アグリコン骨格の生合成に関わるOSC遺伝子を同定し、ocotillol型アグリコン骨格の生合成経路を解明する。確立したPanax属3種のサポニン成分プロファイルを詳細に比較するためのLC-MS分析条件を利用して、他のPanax属植物由来の人参類生薬のサポニン成分のプロファイル解析を行い、Panax属植物の成分的多様性の全貌を明らかにする。
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Causes of Carryover |
既存の溶媒、試薬類を用いて実験を行ったため、部品費の一部をH28年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この研究費は、H28年度分として請求した助成金のうち部品費と合わせて使用する予定である。
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