2014 Fiscal Year Research-status Report
フラボノイドの組合せによる抗炎症作用増強メカニズムの解析
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26460130
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木内 文之 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60161402)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フラボノイド / 抗炎症作用 / wogonin / baicalein / oroxylin-A / COX-2 / iNOS / 混合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)オウゴンからのフラボノイドの単離:研究対象とするbaicalein, wogonin, 6-methoxywogonin, oroxylin Aのオウゴンからの単離を行い、baicalein, wogonin, oroxylin Aについては充分量を確保できたが、6-methoxywogoninについては単離を継続中である. 2)フラボノイド混合物のCOX-2並びにiNOSへの作用の解析:充分量が確保できたbaicalein, wogonin, oroxylin AについてCOX-2への直接阻害作用を検討した.単一化合物としてはoroxylin Aの阻害率が最も高く続いてbaicalein,wogoninの順であったが,この3種を混合しても細胞で観察された増強作用は見られなかった.次に,COX-2並びにiNOSのmRNAの発現に対する影響を調べた結果,COX-2についてはwogoninに最も強い活性が見られたが,3種のフラボノイドの混合による活性の増強は見られなかった.また,iNOSについてはやはりwogoninに最も強い活性が見られ,3種のフラボノイドを混合すると活性が上昇する傾向が見られた. 3)フラボン誘導体の合成:A環の6, 7, 8位にのみ酸素官能基を持つフラボノイドの合成を目指し,まずピロガロールを出発原料として合成を開始したが,アシル化の収率が悪かったことから,原料を市販の2',3',4'-trihydroxyacetophenoneに変更し,フラボン骨格の5位に水酸基を持たず,6位に水酸基,7, 8位にメトキシ基を持つ化合物を合成した.この化合物は,培養細胞系においてオウゴンのフラボノイドよりも強いPGE2産生抑制活性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オウゴンのフラボノイドの単離については,使用した生薬中の6-methoxywogoninの含有量が低かったために充分量を単離することができなかった.また,フラボノイドの合成に関しては,当初予定していた合成ルートでは収率が非常に悪く,出発原料を変更して異なるルートでの合成に切り替えたため,予定していた化合物の一部しか合成できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討の結果,検討の対象としたオウゴンのフラボノイドは構造が類似しているにもかかわらず,主に作用している作用点が異なっており,これがこれらの化合物を混合した際に作用が増強される要因となっていることが推定された.今後,実験に必要な量の6-methoxywogoninを確保しその作用点を明らかにするとともに,これを含めた4種のフラボノイドを混合した際の活性の変化を検討する.更に,これらのフラボノイドがCOX-2等の遺伝子発現を抑制するメカニズムについても検討する. 5位に水酸基を持たないフラボノイドの合成については,ほぼ合成ルートを確立できたことから当初予定していた化合物の合成を行い,合成した化合物の作用を検討する.
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅れており,予定していたアッセイキットの購入の一部を見送ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度できなかった分のアッセイなどのための消耗品費として使用する.
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