2015 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン共鳴を用いた植物資源からの抗生活習慣病薬のシーズ探索法の確立
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26460131
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
黒田 明平 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (80266890)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / aldose reductase / Agrimonia eupatoria / flavoniod配糖体 |
Outline of Annual Research Achievements |
表面プラズモン共鳴を用いた植物資源からの抗生活習慣病のシーズ探索法の確立のため、以下の研究内容について実施した. 1)生活習慣病関連酵素のセンサーチップへの固定化の条件検討 2)生活習慣病関連酵素を有する植物抽出エキスの調製および酵素阻害活性 生活習慣病関連酵素として糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症に関与する aldose reductase(AR)のセンサーチップ(CM5)へのアミンカップリング法を用いての固定化条件の検討を行っている。現時点で植物抽出エキスから AR 阻害活性物質の探索に適する AR 固定化センターチップの調製は出来ていない。また、上記1)と並行し、抗生活習慣病活性化合物の探索を目的として調製した植物のメタノール抽出エキスについて、AR 阻害活性を評価した。その結果、バラ科 Agrimonia eupatoria 地上部(IC50: 5.92μg/mL)に活性を認めたため、同エキスの分離を進めた。 バラ科 A. eupatoria 地上部のメタノール抽出エキスをDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーに付し、20% MeOH、EtOH、EtOAcと順次極性を下げながら溶出させた。その結果、EtOH溶出画分に活性が集中(4.41μg/mL)したため、同画分について順相および逆相シリカゲルカラム、逆相シリカゲルカラムを装着したHPLCおよびゲルろ過カラムを用いて分離を行った結果、2種の flavanol類、5種の flavonoid 配糖体、1種の isocoumarin 配糖体および1種の新規 phenol 配糖体を単離し、それらの構造を明らかにした。このうち、2種の flavanol類 および isocoumarin 配糖体を除く化合物が比較的強い AR 阻害活性(15.2 - 21.3μg/mL)を示した。 AR固定センサーチップの作成が完了した際には、これまでにAR阻害活性を示したエキスおよび単離したAR阻害活性化合物について、表面プラズモン共鳴を用いた方法による AR 阻害活性の評価を行い、既存の方法との同等性の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
センサーチップへの aldose reductase(AR)の固定化を行い、表面プラズモン共鳴を用いた AR 阻害活性を有する植物抽出エキスおよび単離した AR 阻害活性化合物の評価を行っている。しかしながら、陽性対照化合物であるエパルレスタットおよびこれまでに単離している AR 阻害活性化合物の濃度依存的なセンサーグラムは得られていない。また、AR 阻害活性を示した植物抽出エキスについても濃度依存的なセンサーグラムが得られていない。 原因として以下に示し1)-3)が考えられる。1)センサーチップへ固定出来ている AR 量の不足、2)AR 阻害活性化合物の分子量が小さい(Mw 1000未満)、3)植物抽出エキス中に含まれる AR 阻害活性化合物の含有量が低い。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を分析し、最大量の AR のセンサーチップへの固定化するとともに、これまでの研究でAR 阻害活性を示した化合物の中で分子量の大きい化合物についてセンサーチップを用いた阻害活性評価を行う。分子量の大きいAR 阻害活性化合物について、濃度依存的なセンサーグラムが得られた場合、植物抽出エキスについても評価を行う。また、その他の生活習慣病に関連する酵素(DPP-IV、PTP1B、xanthine oxidase など)あるいは核内受容体タンパク(PPAR-γなど)のセンサーチップへの固定化の条件を検討し、固定化を進める。上記の酵素あるいは受容体タンパクのセンサーチップへの固定が完了した場合、既存の酵素阻害活性化合物あるいは核内受容体リガンド化合物について、濃度依存的なセンサーグラムが得られるかを評価し、既存の評価法との比較を実施する。 上記実験と併行し、27年度に引き続きバラ科 A. eupatoria 地上部のメタノール抽出エキスからの AR 阻害活性物質の探索を実施する。その他、AR阻害活性を確認しているカバノキ科 Betula alba 樹皮のメタノール抽出エキスについても AR 阻害活性物質の探索を実施する。AR 阻害活性有する4種の植物エキスおよび単離された複数の阻害活性化合物について、表面プラズモン共鳴法により同等の結果が得られるか評価を行う。
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