2014 Fiscal Year Research-status Report
海洋生物由来菌類の産生する抗がん剤のシーズの探索及びリード化合物の開発
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26460136
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
山田 剛司 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (20278592)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋菌類 / 細胞毒性物質 / 海洋生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪府泉南郡岬町沿岸において海洋生物及び流木を採取し,各々の切片もしくは内臓及びその内容物を5種類の成分の異なる寒天平板培地に塗布し、生えてきた放線菌及び真菌を随時同じ成分の寒天培地の入った試験管(以下スラント)に拾い、のべ約80種類の菌類を分離した。次にこれら菌類をそれぞれ同じ成分の液体培地20 mLで3~7日間静置培養後、酢酸エチル-MeOH (5 : 1)で菌体ごと抽出し、得られたエキスについてP388マウスリンパ性白血病細胞及びHL-60ヒト急性骨髄性白血病細胞に対する増殖阻害活性試験を実施し、6種の菌が優位な細胞毒性物質産生菌として見出された。いずれも未同定であるが、真菌である。 次に各々の菌を採取した寒天平板培地と同じ成分で大量培養し(4週間静置培養)、今度はろ過により菌体と培養液に分離し、菌体はMeOHで冷浸、また培養ろ液は酢酸エチルで抽出し、それぞれ2種類のエキスを得た。得られた各2種類のエキスについて先と同様に細胞増殖阻害活性試験を実施し、活性の強く、さらに代謝物の収量が多いものを中心に分離・精製を行った。分離・精製にはShephadex LH-20、シリカゲル及びHPLCなどのクロマトグラフィーを用い、細胞増殖阻害活性試験の活性を指標に進めていき、活性本体の探索を行った。また、活性の弱い分画においても1H NMRスペクトルを測定することにより、構造的見地から興味深い物質の代謝物検出のアプローチを行った。その結果、今回海藻ワカメ表面より分離した真菌(未同定)の代謝産物より未発表であるが新規物質を2つ単離した。細胞増殖阻害活性をはじめとする生物活性については今後検討する。その他の菌類の代謝物については単離には至ってないものの優位な活性を示す分画が認められており、今後の分離・精製に期待が持てる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的に掲げた種々の海洋動植物からの有用な細胞毒性物質産生菌の分離は、計画通り達成することができた。さらにこれらの菌類を大量培養し、その代謝産物について分離・精製を進め、含有成分の検討において有意な知見を得た。中にはすでに新規代謝産物を見出された真菌もある。これらの菌の中には、強い生理活性を産生するもの、類縁体を多く産生するものなどが認められ、次年度以降の新規生理活性物質の探索の足掛かりとなった。また、並行して行っている従来より継代培養を行ってきた細胞毒性物質産生菌の代謝物からは微量成分の補充に成功し、それらの化学構造を決定した。さらに、生理活性を検討し、これらの結果を学会及び論文で公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き見出した有用な菌の代謝産物について検討を行い、新規細胞毒性物質の単離及びその化学構造の決定を第一の目標とする。しかる後、得られた生理活性物質及びその類縁体の活性から活性発現に必要なコア構造を明らかにし、それらをシーズとして、新たな機能性リード化合物の開発を目指す。また、活性試験については、これまでの細胞増殖試験に加え、ヒト培養がん細胞パネル試験及び各種分子標的スクリーニング(化学療法基盤情報支援班に依頼)を行い、これら化合物の分子レベルでの作用発現機構の解明及び新たな作用機序の発見を目指す。
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Causes of Carryover |
少額であったため次年度繰越して高価なHPLC用パックドカラムの購入に備えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は大量培養及び大量分取が作業の主となることが予想される。また、微量成分の精密な分離も必要となる。したがって、菌を培養するための培地成分が大量に必要となり、また分離・精製に必要なShephadex LH-20及びシリカゲルなどのカラム充填剤並びにHPLCにおけるセミ分取用パックドカラムの消耗が著しくなる。特に、化合物の分離・精製において再現性を維持する目的でHPLC用パックドカラムの頻繁的な交換は、避けられないため比較的高い予算での購入計画である。
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Research Products
(2 results)