2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460148
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡本 良成 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (20194409)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / 浸潤・転移 / ADAM17 / Rasタンパク / 亜鉛配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌に関与する亜鉛蛋白質は様々なものが知られている.本研究では,その中で腫瘍細胞の転移に関与するADAM17,上皮間葉転換に関与する転写因子Snail,細胞の増殖に関与するRas蛋白の翻訳後修飾に必須であるファルネシルトランスフェラーゼを標的とする新規抗癌剤の創製を目的とする.標的とするこれらの蛋白質は,機能発現に亜鉛が必須であるため,蛋白から亜鉛を引き抜く,あるいは蛋白中の亜鉛に配位する化合物はその活性を阻害できると考えられる. そこで,我々が開発した亜鉛配位子に蛋白質特異的な認識部位を連結した化合物を設計合成することとした. ADAM17の阻害では,ブチニル基を持つ認識部位をスルホンアミド結合で側鎖アミノ基に導入した化合物を合成した.現在,チオールの保護基として導入したt-ブチル基の脱保護を検討中である. ファルネシルトランスフェラーゼの阻害では,ピリジン環の4位アミノ基にカルバメートを介してファルネシル基,ドデシル基を導入することに成功した.合成した化合物のファルネシルトランスフェラーゼ阻害活性を測定したところ,それぞれ0.71μM,0.75μMの濃度で50%の阻害が見られた.この結果は,我々が合成した阻害剤の中では最も活性が強いものであった.また,変異 K-Ras を発現している膵臓癌細胞株 AsPC-1 細胞に対する増殖抑制効果を検討した結果,どちらの化合物も還元剤であるDTT存在下,10μMの濃度で細胞増殖抑制効果があることを見いだした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで認識部位の導入が困難であったピリジン環の4位アミノ基に,カルバメートを介してファルネシル基,ドデシル基を導入した化合物を合成することができた.合成した化合物は,ファルネシルトランスフェラーゼの阻害活性を持ち,変異 K-Ras を発現している膵臓癌細胞株 AsPC-1 細胞に対する増殖抑制効果があることを見いだした.
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Strategy for Future Research Activity |
ADAM17阻害剤として合成途中である化合物の脱保護を検討し,目的化合物を得る.また,新しい配位子として,側鎖のシステアミンの一つをシステインに変更した化合物を合成し,エステルまたはアミド結合でタンパク認識部位を導入し,これまで合成した化合物との活性の比較を行い,認識部位の導入位置の最適化を検討する.
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Research Products
(8 results)