2014 Fiscal Year Research-status Report
モルヒネ非感受性オピオイドμ受容体スプライスバリアント選択的な作動薬の創製研究
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26460152
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤井 秀明 北里大学, 薬学部, 教授 (30458757)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オピオイド / μ受容体 / スプライスバリアント / メサドン |
Outline of Annual Research Achievements |
フェニル基が重要であるとの作業仮説を検証するためのメサドン誘導体として、メサドンからフェニル基を除き、さらにジアステレオマーになることを回避するためアミノ基のα位に存在するメチル基も除いた化合物を設計し、合成した。さらに、設計化合物のケトン部分を還元したアルコール体を合成した。設計化合物の合成にあたっては、メサドンの合成法を応用して取り組んだが(基質は、フェニル基1個の有無しか異ならない)、同様の反応が全く進行しない、または複雑な混合物となり、設計化合物の合成には至らず、最終的には、別ルートにより合成することができた。 合成化合物のオピオイド受容体結合能を評価したところ、μ、δ、κいずれのタイプに対してもほとんど結合能を示さず(メサドン自信は、μ受容体に強い親和性を示す)、フェニル基を除去することにより、μ受容体に対する親和性が大きく低下することが明らかとなった。また、この結果は、モルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに作用するか否かをin vivo実験により評価するためのクライテリア(κ受容体に高親和性を示さないこと)を満たしていた。本評価系においてはμ受容体に対するラベル化合物は[3H] DAMGOを用いており、今回の受容体結合試験の結果は、モルヒネ感受性μ受容体スプライスバリアントに対する親和性の低下を意味し、本研究の標的であるモルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対する親和性(現在のところ、これを評価するin vitro評価系は無い)は不明である。今後、鎮痛作用を指標としたin vivo評価を実施し、合成化合物のモルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対する作用の有無を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メサドンは2,2-ジフェニルアセトニトリルを原料に合成されており、これを参考に、設計化合物は2-フェニルアセトにトリルを原料に合成を試みた。しかし、予想に反して、種々反応条件を検討したにもかかわらず、全く反応が進行しない、または複雑な混合物を与えるという結果になり、設計化合物を合成するには至らなかった。そこで、1-フェニル-2-ブタノンを出発原料とした合成ルートに変更することにより、設計化合物を合成することができた。収率が必ずしも高くないステップも含まれてはいるが、in vivo評価のために必要な化合物量を供給可能な合成ルートであると考えている。 メサドン誘導体の合成が予想以上に困難であり、フェニル基を除去したメサドン誘導体がモルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対する作用を示すか否かの検証ができていなかったため、モルヒナンおよび4,5-エポキシモルヒナン骨格にフェニル基を導入した化合物については、化合物設計のみで合成は未着手である。反応は未検討であるが、既知反応またはその応用であるため、化合物合成については特に問題にはならないと考えている。 設計・合成したメサドン誘導体は、モルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに作用するか否かをin vivo実験により評価するクライテリア(κ受容体に高親和性を示さないこと)を満たしていたため、in vivo評価を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、フェニル基を除去したメサドン誘導体がモルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対する作用を示すか否かの検証を行った後、モルヒナンおよび4,5-エポキシモルヒナン骨格にフェニル基を導入した化合物の合成を行う予定であったが、今後はメサドン誘導体合成とモルヒナンおよび4,5-エポキシモルヒナン誘導体合成を並行して実施していく予定である。 メサドン誘導体合成については、今回確立した合成ルートを用いることにより種々誘導体の合成が可能であるとは考えているが、フェニル基を除いたメサドン誘導体合成の経験から、更に合成ルートの検討が必要となる可能性も否定はできない。また、今回合成した化合物は、モルヒネ感受性μ受容体スプライスバリアントに対する親和性はほとんど示さなかったが、モルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対する作用の有無は不明である。モルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対して作用を示さなかった場合も想定し、化合物設計を進める予定である。 モルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントに対する作用の有無の評価は鎮痛作用を指標としたin vivo評価を行う予定であるが、より簡便に評価できるように、in vitro評価系構築を目指し、標的としているモルヒネ非感受性μ受容体スプライスバリアントの発現系構築を検討中である(共同研究)。
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Causes of Carryover |
モルヒナンおよび4,5-エポキシモルヒナン誘導体の合成検討が未着手となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H26年度実施予定であったモルヒナンおよび4,5-エポキシモルヒナン誘導体の合成をH27度に実施し、次年度使用額はこれにあてる。H27年度については、当初の計画通りに実施予定である。
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Research Products
(1 results)