2014 Fiscal Year Research-status Report
ホルモン非依存的前立腺がんにも有効な新規PCA-1阻害剤の探索合成
Project/Area Number |
26460164
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
田中 明人 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30454789)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 創薬化学 / PCA-1 / 前立腺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い、既に創出済みの化合物HUHS015をリード化合物として誘導体合成を行った。平成26年度は新たに41新規化合物を合成し、PCA-1阻害活性および前立腺がん由来細胞(DU145)などの増殖抑制活性にして評価を、共同研究者の辻川教授(大阪大学・薬)らに依頼し行った。ピラゾール環に飽和アルカン環が縮合した新タイプPCA-1阻害を有する誘導体を創出することに成功した。これら新規誘導体は、溶解度も改善しており、in vivo効果が改善傾向であった。今後、当該誘導体に注力し、1.知的財産の確保、2.構造最適化を目指し、早期の臨床応用を目指す計画である。 また、HUHS015をツール化合物として用い、抗がん剤としてのPCA-1阻害剤の可能性を探索するため、各種の検討を行った。その結果、HUHS015は、ホルモン非依存性前立腺がんの治療剤として多用されるドセタキセルとの併用により、in vivoモデルにおいても明らかな活性向上(相加~相乗効果)が見出された。今後、in vitro実験を用い、この併用効果を詳細に検討し、早期の臨床応用を目指す計画である。 最後に、本プロジェクトは平成26年度に医薬基盤研究所創薬支援テーマに採択され、そのまま当該機構のAMEDへの移転に伴い平成27年度よりAMED支援テーマとして採択された。これによって、本課題に関する創薬activityは大幅に向上しており、科研費採択テーマとして、より良い成果創出を目指す計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示すとおり、平成26年度の研究により、1)新しいリード化合物創出に成功し、2)既存薬との併用効果を示す薬効データの取得に成功しており、おおむね順調に進行していると考える。 1)の新しいリード化合物からの最適化検討については、すでにAMED内でも議論され、新リード化合物としての適格性も確認されていることから、AMEDからの資金援助も活用しながら、外部委託企業との連携も開始し、誘導体合成が大幅に進行する計画である。今後、すでに得られているHUHS015に比較し、10倍程度活性が向上した化合物の創出を目指す計画である。 2)のPCA-1阻害剤の臨床メリットの探索に関しても、臨床使用薬ドセタキセルとの明確な併用効果、および当該薬による副作用の低さを示すことによって、早期の臨床試験へのステップアップが可能になると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書に明示しているが、未だ得られていないPCA-1およびHUHS015誘導体との共結晶の取得および複合体の構造解析も推進する計画である。本複合体の解明により、精度の高いSBDD(Strcture based drug design)の活用が可能となり、創薬研究がさらに加速することが期待される。また、一方、新たなシード化合物の取得を目指し、AMEDの創薬ネットワークを活用したランダム評価の実行も計画している。これにより、新たなシード化合物の取得あるいは活性向上に有用な部分構造の解明が期待されている。 また、ドセタキセルとの併用効果が確認されているが、他の抗がん剤との併用効果も網羅的にスクリーニングし、本成果物の最適な臨床分野の絞込みも行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
計画に従い、適正な執行を行った結果、少額の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と平成27年度の助成金を合算し、研究に必要な備品機器を購入することを計画している。
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