2015 Fiscal Year Research-status Report
炎症・アレルギー性物質の長距離大気輸送及びその生物活性の解明
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26460178
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 徹志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (90182930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷井 友尋 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (10388027)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エンドトキシン / タンパク質 / 大気粉塵 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイボリウムエアサンプラーを用いて2015年4月から11月まで1週間分ずつ毎月4週間、微小粒子(PM2.5)と粗大粒子(PM2.5以外の浮遊粒子)を福岡県太宰府市において捕集した。また、同地点において2015年12月から2016年3月まで総浮遊粒子(TSP)を24時間分ずつ同装置を用いて捕集した。2014年5月から2015年4月に捕集した微小粒子と粗大粒子についてエンドトキシンとタンパク質の分析を行った。その結果、エンドトキシン濃度は、粗大粒子においては1.0~27.8 mEU/m3であり、微小粒子においては0.3~13.2 mEU/m3であり、ほとんどの週においてエンドトキシン濃度は微小粒子より粗大粒子において高かった。粗大粒子におけるエンドトキシンンの月毎の平均値は5月、9月、11月に高く9.7~14.9 mEU/m3であった(2015年10月は微小粒子、粗大粒子とも捕集しなかった)。一方、タンパク質濃度は、粗大粒子においては33~300 ng/m3であり、微小粒子においては970~3391 ng/m3であり、すべての週において粗大粒子より、微小粒子において高濃度であった。北京市(中国)において2013年から2014年の4カ月に毎月5日、24時間分ずつ捕集したTSPについてエンドトキシンとタンパク質を分析した。その結果、エンドトキシン濃度はほとんどが200 mEU/m3以上でありタンパク質濃度は1.6μg/m3以上であり、風上域である中国において日本よりエンドトキシン、タンパク質とも濃度が高く長距離輸送が起こる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症・アレルギー反応に関与することが報告されているエンドトキシン及びタンパク質の大気中での年内変動(2014年5月~2015年4月)を明らかにすることができた。また、日本の風上域である中国においてエンドトキシン、タンパク質とも高濃度であることがわかり長距離輸送が起こる可能性を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に捕集した試料についてエンドトキシンとタンパク質の分析を行い年内変動の規則性について検討する。TSPについて分析を行うとともに、後方流跡線解析により空気塊の移動経路を推測し長距離輸送の影響について検討する。また、大気粉塵試料の炎症性サイトカイン誘導能を測定する。当初の計画通り研究を実施する。
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Causes of Carryover |
当該年度計画していた研究が、当初計画した予算よりもわずかながら少額で実施でき、次年度実施に必要と考えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に使用する予定。
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Research Products
(2 results)