2014 Fiscal Year Research-status Report
内毒素などの細菌由来生物活性物質の低毒性誘導体生合成システム創出
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26460179
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
川崎 清史 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (60270641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 菌体成分 / 質量分析 / 免疫刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラム陰性菌の一部にはアミノ酸含有脂質と命名された脂質が主要リン脂質と同程度のレベルで豊富に存在する。セリン、オルニチン、グリシン等を含むアミノ酸含有脂質が知られているが、このうちAchromobacter xylosoxidansにはオルニチン含有脂質が存在することが知られている。オルニチン含有脂質をはじめアミノ酸含有脂質にはアジュバント活性が知られている。この脂質群の誘導体生合成に関する研究は本課題の研究テーマであるが、アミノ酸含有脂質の研究はあまりされていないので、まず分析法の開発から着手した。質量分析計によるアミノ酸含有脂質分析法を確立して、効率的な同定を可能にすることを本年度の目標とした。A. xylosoxidansのオルニチン含有脂質をマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(matrix-assisted laser desorption/ionization time of flight mass spectrometry, MALDI TOF MS)を利用して分析する方法の確立を試みた。まず、A. xylosoxidansのオルニチン含有脂質を定法に従い精製した。精製したオルニチン含有脂質をMALDI TOF MSを用いてポジティブイオンモードで分析したところ、オルニチン含有脂質に相当すると考えられる質量ピークを検出することができた。そのピークがオルニチン含有脂質であることを裏付けるために、MALDI TOF/TOF MS分析してフラグメントイオンの分析を行った。その結果、オルニチン含有脂質であることを支持する質量ピークが得られた。以上の結果から、オルニチン含有脂質をMALDI TOF MSを利用して分析する方法の確立ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オルニチン含有脂質をMALDI TOF MSを利用して分析する方法の確立ができたと考えられる。本法を応用することにより菌体成分の簡便な分析が可能になる。従って概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立できたオルニチン含有脂質をMALDI TOF MSを利用して分析する方法を応用して、A. xylosoxidansに由来する脂質成分にオルニチン含有脂質のアナログあるいは関連アミノ酸含有脂質があるか解析を進める。アナログがあれば詳細な構造解析と免疫刺激活性の測定を行う予定である。また、それらの生合成系の解析も研究対象である。
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Causes of Carryover |
研究計画では研究対象としてリピドAとアミノ酸含有脂質を挙げたが、アミノ酸含有脂質がうまく進展しそうであったので、研究対象を絞ったところ次年度使用額が生じた。また、アミノ酸含有脂質についてはウエットな実験を繰り返さなくても十分な結果が得られ、結果的にデータ解析に研究の比重が大きくなったことも次年度使用額が生じた一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降、アミノ酸含有脂質について当初の計画を超えて幅を広げて研究を推進する予定である。そのために次年度使用額を使用する予定である。
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