2016 Fiscal Year Research-status Report
内毒素などの細菌由来生物活性物質の低毒性誘導体生合成システム創出
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26460179
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
川崎 清史 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (60270641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 菌体成分 / 質量分析 / 免疫刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラム陰性菌の一部にはアミノ酸含有脂質と命名された脂質が主要リン脂質(ホスファチジルエタノールアミンやカルジオリピン)と同程度のレベルで存在する。セリン、オルニチン、グリシン等を含むアミノ酸含有脂質は哺乳動物の免疫系を刺激する。この免疫刺激作用はエンドトキシンの本体であるリポ多糖よりも弱いとされており、アジュバントあるいはアジュバントのリード化合物として利用できる可能性がある。Achromobacter xylosoxidansはオルニチン含有資質を有している。昨年度までの研究でこの細菌が保有するオルニチン脂質は水酸化型と非水酸化型の2種類があることがわかり、その精製を進めて免疫刺激活性の比較を行った。マウスマクロファージ様培養細胞に対してサイトカイン分泌誘導活性は水酸化型と非水酸化型で同じであった。従って両者に活性の違いは無いと考えられた。一方、リポ多糖の活性の本体であるリピドA、モノホスホリルリピドA、オルニチン含有脂質の三者で、マウスマクロファージ様培養細胞に対してサイトカイン分泌誘導活性を比較した。その結果オルニチン含有脂質はリピドAよりは活性が弱いがモノホスホリルリピドAよりも活性が強かった。オルニチン含有脂質の活性の詳細を知るためにサイトカイレスポンスの詳細、細胞内シグナル伝達の詳細、細胞表面受容体、についてリピドA,モノホスホリルリピドAと比較しながら解析を進めていく研究の方向性が大切であることがはっきりとしてきた。また、エンドトキシンの本体であるリポ多糖は抗菌ペプチドの標的になる。抗菌ペプチドのアミノ酸をD体アミノ酸で合成したD-抗菌ペプチドはL-抗菌ペプチドよりも活性が強い場合がある。その原因として、リピドAとD-抗菌ペプチドの親和性が強い場合があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オルニチン脂質は水酸化型と非水酸化型の2種類があることがわかり、その精製を進めて免疫刺激活性の比較を行った結果両者に活性の違いは無いとの結論を得ることができた。一方、リピドA、モノホスホリルリピドA、オルニチン含有脂質の三者で免疫刺激活性を比較したところオルニチン含有脂質はリピドAよりは活性が弱いがモノホスホリルリピドAよりも活性が強いという結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
オルニチン含有脂質の活性の詳細を知るためにサイトカイレスポンスの詳細、細胞内シグナル伝達の詳細、細胞表面受容体、についてリピドA,モノホスホリルリピドAと比較しながら解析を進めていく研究の方向性が大切である。研究の質を上げるために、再現実験を含めてさらに実験を精緻に進めていく必要がある。
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Causes of Carryover |
当初計画を効率的かつ効果的に進めた結果、直接経費の節約ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の質を上げるために、再現実験を含めて、もっと精密に実験を行って結果を多角的に確認して評価する必要がある。そのために直接経費を使って追加研究を行う。
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