2015 Fiscal Year Research-status Report
乳酸菌由来DNAの腸管における抗炎症作用に関する研究
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26460181
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鹿志毛 信広 福岡大学, 薬学部, 教授 (80185751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見明 史雄 福岡大学, 薬学部, 教授 (50248522)
佐藤 朝光 福岡大学, 薬学部, 助教 (90369025)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / ゲノムDNA / TLR-9 / Elafin / Lactobacillus plantarum |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌Lactobacillus plantarum D2905株による、ヒト結腸癌由来 Caco-2細胞からの抗炎症作用など多様な生物学的機能を有するElafinの発現誘導作用およびその誘導機構を検討した。 (1) D2905 株の死菌体を曝露した Caco-2細胞では、Elafinの分泌量が曝露時間および菌体濃度比例して有意に増加した。一方、生菌体を曝露した Caco-2細胞では、Elafinの分泌増加は観察されなかった。以上より、死菌化により生成した菌体成分がElafinの分泌に関与している可能性が示唆された。 (2)D2905 株死菌体のElafin分泌作用における菌体成分の関与を調べた結果、D2905 株のゲノムDNAによってElafinの分泌量が増加した。 (3)Caco-2細胞において細菌由来のDNA認識に機能するToll様受容体9 (TLR-9) の発現をsiRNAで抑制した結果、ゲノムDNAによるElafinの分泌は抑制された。従って、D2905 株の死菌体によるEafinの分泌量増加は、TLR-9を介したゲノムDNAの作用によることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Lactobacillus casei以外の乳酸菌ゲノムDNAに存在する抗炎症性ODN配列の出現頻度を特定するために、Caco-2細胞からの抗炎症性ペプチドelafinの産生を促進させたLactobacillus plantarumD2905株の全ゲノムDNAシークエンスを実施したが、contig間連結のためのシークエンスが未完了で抗炎症性ODN配列頻度の特定に至っていない。 DSS誘発性大腸炎マウスに対するODN投与の影響については実施が出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
DSS 誘発性大腸炎マウスに対する ODNの予防・治療効果を検証する。 大腸炎に対する ODNの予防効果の検討では、DSSを投与する 1 週前より ODNの経口投与を開始する。治療効果の検討では、DSSの投与終了後に ODNの経口投与を開始し、大腸炎の症状改善を評価する。 炎症の評価は、体重減少、下痢、血便、大腸の短縮、好中球遊走の指標であるミエロペルオキシダーゼ活性の増大、組織のHE染色を指標にして行う。また、大腸からmRNAを抽出後、リアルタイムPCRを用いて、MIP-2 (ヒトIL-8のマウスホモログ)、COX-2、iNOSのmRNA 発現量を測定しODNの抗炎症効果を評価する。
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Causes of Carryover |
年度末にDNAシークエンサーが故障し、DNAシークエンス関係の消耗品費として執行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DNAシークエンサーの故障が継続しているため、シークエンスの外注費用として使用する他、平成28年度分の助成金と合わせて消耗品費に充当する。
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Research Products
(1 results)