2015 Fiscal Year Research-status Report
分泌型miRNAの測定による新規な動脈硬化発症・進展評価法の開発
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26460203
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩城 壮一郎 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (60399962)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | miRNA / バイオマーカー / 動脈硬化 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、細胞外に放出される分泌型microRNA (miRNA) が新たなバイオマーカー候補として期待されている。申請者はmiRNAが動脈硬化症発症のマーカーとなり得る可能性に着目して検討を行い、古典的な心血管危険因子 (高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙) を有する、無症候かつ無治療の患者の血液において特異的に発現が変動するmiRNAの存在を見いだした。本申請課題では、分泌型miRNAの測定による新規な動脈硬化発症・進展診断法の開発を行う。計画している具体的な項目は、(1) 動脈硬化の発症に特異的な分泌型miRNAの機能解析、(2) 分泌型miRNA検出条件の確立、(3) 臨床検体におけるmiRNA発現と血管内皮障害の相関の検討、の3つである。本研究ではまず、得られた分泌型miRNAをノザンブロッティングやリアルタイムPCR法によりスクリーニングすることで絞り込み、偽陽性を除外した。さらに、培養細胞や動脈硬化モデルマウスを用い、得られたmiRNAの標的遺伝子の同定や、動脈硬化好発部位における血管内皮機能への影響等を検討することで、動脈硬化発症に特異的なmiRNAの機能解明を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らはこれまでに、名古屋市立大学病院心臓・腎高血圧内科の外来を受診した、古典的な心血管危険因子 (高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙) を有する無症候かつ無治療の患者を対象に採血およびmiRNAの抽出を行い、マイクロアレイにより分泌型miRNAの発現を検討することで、特異的な発現変動を示すmiRNA群を得た。本年度はさらに培養細胞を用いて機能解析を進め、臨床検体における結果との相関を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き同定したmiRNA分子の機能解析を進めるとともに、新規な動脈硬化診断法の実現に向け、臨床検体を用いた解析を行う。本申請課題で同定したmiRNA分子種を糖尿病や心血管疾患の既往歴を有する患者の血液より検出し、血管内皮機能との関連を検討することで新規な動脈硬化症の診断法としての可能性を探る。名古屋市立大学病院心臓・腎高血圧内科の外来を受診した20~70歳の古典的な心血管危険因子 (高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙) を有する無症候かつ無治療の患者 (重篤な肝疾患や腎障害、コントロール不良の糖尿病、内分泌疾患、悪性腫瘍の合併者は除外する) 50名を対照にする。同意を得た患者より採血およびmiRNAの検出、ならびに血流依存性血管拡張反応検査 (FMD) を行い、本研究で同定したmiRNAの発現量と血管内皮障害との相関を検討し、新規な動脈硬化症の診断法としての可能性を探る。本申請課題による新規動脈硬化評価法が優れた結果を示す場合は、血液からRNA抽出無しで直接miRNAを検出可能なReady-to-useの診断キットの開発・実用化を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は計画通り研究を遂行したが、研究費の節約を心がけたため、若干の余剰金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は計画通り、同定したmiRNA分子の機能解析を進めるとともに、新規な動脈硬化診断法の実現に向け、臨床検体を用いた解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)