Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は,”花粉症根治療法のための新規減感作作動性徐放性製剤”を開発するため, 新規合成高分子を用いたマイクロスフェア製剤を設計, 評価することを目的に企図された. 本年度は,液中乾燥法に種々の新規合成高分子を適用し, 主要アレルゲンCryJ1とJ2内封マイクロ粒子を調製し, 粒子の物理化学的性質を詳細に検討した. 【方法】新規合成高分子としては,分子量, 分子量分布が異なる3種類の乳酸重合体 (PLA), 4種類の乳酸-グルコール酸重合体 (PLGA), 8種類の乳酸-ポリエチレングリコールブロック重合体 (PLAPEG)を用いた. これらを600 mg秤量しアセトニトリル溶液3 mLで溶解させた後, 50 mg HSA 及びCryJ1/Cryj2水溶液を加え, 粗乳化, 乳化することで得られたW/O/W溶液を凍結乾燥することでマイクロス粒子を得た. 得られた粒子の粒度分布, 平均粒子径, タンパク質内封率, 粒子の収率, 表面形状も評価した. また, PBSを用いたin vitro放出性についても検討した. 【結果】モデルタンパク質としてHSAを用いて, 高分子に対する重量比率, 超音波ホモジナイザーの振幅強度など最適な製造条件を見出した. 種々の高分子を用いて調製した粒子はいずれも数十μmの平均粒子径であったが,PLAPEG9604H が高いタンパク質内封率を示し, かつ, 最もゼロ次放出挙動に近い徐放特性を示した. そこで, PLAPEGを用いてCry j1/J2内封マイクロスフェアの調製したが, HSAを内封した際と同様な粒子径, 粒度分布, 徐放性を示した. 以上のことから, 生体内分解性合成高分子PLAPEGにスギ花粉症原因アレルゲンを内封することで, アレルゲンを長期間持続放出させる製剤が調製できることが明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
長期保存中のCryJ1/J2の構造変化や免疫原生について検討を行う. 具体的には, CryJ1/J2内封粒子を37度でincubation後, 免疫寛容が認められた期間内におけるタンパク質自身の二次・三次構造変化の詳細をCDスペクトル (日本分光) で調べると同時に, DSCを用いて熱安定性を検討する.また, マウス, ラット, 犬を用いて, マイクロスフェアを皮下投与し, 免疫原性や細胞毒性などについて詳細に検討する.
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