2015 Fiscal Year Research-status Report
免疫グロブリン製剤に含まれる凝集体の特性と安全性に関する研究
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26460249
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
石井 明子 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 部長 (50291117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原園 景 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (20280753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 免疫グロブリン製剤 / 凝集体 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫グロブリンの特性と凝集体形成の関係を明らかにするため、各種免疫グロブリン製剤を添付文書に従い溶解した後、溶媒を10mM 酢酸ナトリウム緩衝液pH 4.7に置換して10mg/mLの溶液とし、-80℃及び37℃にて凍結融解を10回繰り返すことにより、または、1000rpm、37℃で48時間攪拌することによりストレスを与え、凝集体の生成され易さを動的光散乱により評価した。凍結融解においては、スルホ化処理した製剤及びペプシン処理しF(ab’)2が主成分の製剤でμm未満の凝集体の増加が検出されたが、PEG処理及び陰イオン交換処理した製剤、及びペプシン処理した製剤においては凝集体は検出されなかった。攪拌においては、いずれの製剤においても凝集体生成が認められたが、スルホ化処理された製剤において、単量体のシグナルの低下及び凝集体シグナルの増加が認められた。以上から、凝集体生成抑制処理のうちスルホ化処理は効果が弱いことが推測される。次に、LC/MSにより各種製剤のIgG1及びIgG2のFc領域の糖ペプチドを分析したところ、IgG1のシアル酸付加の程度に若干の差はあるものの各製剤間で糖鎖プロファイルが非常に類似していることが確認された。なお、F(ab’)2が主成分である製剤においては、Fcの糖ペプチドは観測されなかった。また、IgG1及びIgG2由来のペプチドの相対強度比から、各製剤間で、IgG1とIgG2の含量比が異なることが示唆された。引き続き、製法の違いによる特性の違いと安全性との関連を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LC/MS/MS解析による各種の免疫グロブリン製剤の、(a)抗体分子のクラス、サブクラス、及び分布、(b)抗体分子に結合している糖鎖プロファイル、(c)その他の不純物タンパク質の同定については順調に進んでいる。これまで、μmオーダーの粒子サイズの凝集体の含量を適切に評価できなかったことから、ストレスによる凝集体の作成が遅れていたが、フローイメージング装置が使用可能となったことから、研究が進むことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
製剤間での抗体サブクラスの含量比、及びサブクラス毎の糖鎖プロファイルのより詳細な比較を行う。 サイズ排除クロマトグラフィーにて二量体を分取し、その特性解析を行う。 各種の凝集体抑制処理をした製剤について、熱、撹拌、pH変化等などのストレスによる凝集体のできやすさの評価を行い、製法との凝集体形成に対する効果を明らかにする。また、作成した凝集体を分離し、可溶性画分と凝集体中の成分の特性の比較を行う。 ストレスにより生成した凝集体について、補体やFc受容体との結合性及びその活性化、免疫担当細胞への取り込みや活性化を解析し、製法による構造の違いと安全性との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
免疫グロブリン製剤の安定性を評価したところ、購入後、長期に保存が可能であり、予定していた追加購入が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫グロブリン製剤の安定性を確認し、製剤間の比較を行う際には追加購入する。 LC/MS分析に必要な資材を購入する。
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