2014 Fiscal Year Research-status Report
移植治療への応用を目指した機能性3次元積層リンパ管組織のエンジニアリング
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26460264
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
浅野 義哉 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50359494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 浩 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20274748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 三次元積層培養技術 / 人工脈管ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞集積法によりヒト皮膚線維芽細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞を用いて作製した三次元血管ネットワーク組織について、ヌードマウス背部皮下への移植を行い、生着後の脈管構造について形態学的な解析を行った。ヒトCD34陽性の血管ネットワークの生着とホスト血液の流入を確認した他、ホスト血管との吻合部ではヒトCD34陽性の脈管と陰性の脈管がモザイク状に分布し、wrapping-and-tappingによる吻合構造が示唆された。生着したヒト脈管構造の光顕・電顕による観察では、ラミニン陽性の基底膜の形成、alpha smooth muscle actin 陽性のペリサイト様細胞の付着を確認し、毛細血管構造の成熟が強く示唆された。本成果については、現在論文投稿中となっている。 また、ヒト皮膚線維芽細胞およびヒト皮膚リンパ管内皮細胞を用いて構築した三次元リンパ管ネットワーク組織について、ヌードマウス背部皮下、および筋膜上への移植を行った結果、ヒトpodoplanin等、ヒトリンパ管マーカー陽性のリンパ管が開存して生着していた。また、一部ではalpha smooth muscle actin 陽性の平滑筋様細胞の付着がみられ、集合リンパ管様構造の形成が示唆された。以上のように、細胞集積法によりIn vitroで構築した人工脈管は、生体に移植した後、In vivoの微小環境下で生体の血管およびリンパ管の機能構造を成熟させる可能性を示していた。 改善の余地はあるが、細胞集積法により作製した人工脈管ネットワーク組織の移植の条件について手技を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人工ヒト血管ネットワーク組織の基本モデル(皮膚由来線維芽細胞;NHDFと臍帯静脈内皮細胞;HUVEC)および人工ヒトリンパ管ネットワーク組織の基本モデル(NHDFと皮膚由来リンパ管内皮細胞;HDLEC)のヌードマウスへの移植を行ない、分子形態学的に解析したところ、生着に加え、他の細胞要素が加わることによる血管構造およびリンパ管構造の構築を見出した。この結果より、上記基本モデル移植後の生体内での変化および機能解析を先に行うこととした。よって、初年度に予定していた、血管およびリンパ管形成関連因子発現プラスミドの構築と導入は準備段階にとどまっている。基本モデルの生体内での機能形態を更に明らかにし、正常機能に足りない要素を精査して、これに関連する導入遺伝子を再考する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞集積法で構築した人工脈管組織の基本モデルは、生体への移植後、ホスト組織とのインタラクションにより血管構造およびリンパ管構造を予想以上に成熟させる可能性が示唆された。今後、血管モデルについては、血管壁のintegrityと正常な血流について解析し、in vitroで平滑筋を加えた移植、血管成熟因子PDGF-Bの導入を行う。リンパ管モデルについては、ホストリンパ管系との吻合、正常なリンパ流、間質液排導機能、これに関する係留フィラメント、弁構造、筋層の形成を精査し、足りない構造と機能にフォーカスした関連因子の導入を予定している。また、人工脈管ネットワーク組織の移植によるリンパ浮腫治療効果を評価する系として、腋窩および鼠径リンパ節郭清とインドシアニングリーンによるリンパ流可視化を組み合わせたマウスリンパ浮腫モデルの作製を予定している。
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Causes of Carryover |
遺伝子導入を行わない人工脈管ネットワーク組織のヌードマウスへの移植でみられたヒト由来血管様・リンパ管様構造の機能形態的解析を先に行っているため、遺伝子導入によるin vitroでの脈管構造の改良を次年度以降にシフトした。これにより遺伝子導入用試薬等の購入が先送りとなったため、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画を遂行するため、細胞培養、組織構築用試薬および消耗品、動物の購入と飼育料、移植実験用試薬および器具、遺伝子導入用試薬および消耗品、学会発表、論文発表経費への使用を予定している。
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Research Products
(2 results)